きょう、このBL本、読んだ。

商業BL本(漫画・小説)の感想。ネタバレあり。某文芸編集部編集者/小説編集者歴7年目(+校正者歴3年)。

「二代目!地獄ブラザーズ」  tacocasi

[あらすじ]
冥界で死者の罪を裁く10人の王さま・十王。その十王をそれぞれ父に持つ息子たちは、二代目王を継ぐべく日々修業中!閻魔王の堅物息子・閻魔は、宋帝王の飄々息子・宋帝にいつもからかわれてイライラがとまらない!ある日、人間の性愛を学ぶ授業で、試験に落第してしまった閻魔は、やむなく宋帝に助けを求めるが、宋帝から「性愛は実習しなければわからない」と言われてしまい?!10人そろってお年頃”地獄の王子様”たちの十人十色な恋模様!(電子書籍サイトの作品内容より)
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[感想]
冥界の十王の跡継ぎ息子たちのオムニバス恋愛模様。3カプのお話です。

二代目閻魔と二代目宋帝 [ 閻魔のお勉強編 ]

表紙の二人。立派な二代目王となるべく、日々修行と勉強をしている10人の跡継ぎ息子達は皆、幼い頃からの顔見知り。その中でも、閻魔と宋帝は腐れ縁のような雑味のある幼馴染み感があって、イケメン幼馴染×真面目鈍感という王道のカップリング✨
子どもの頃から宋帝にうざ絡みのちょっかいを出されてきて、思春期になった今でもなんだかんだとまとわり付かれてプンスカしてる閻魔が、「人間の性愛」の"実習"をきっかけに宋帝のことを意識するようになるんだけど、根が真面目で友達思いな面が災いして、再々試験を受けることになった仲間の泰山に、宋帝とした”実習”をしてあげようとした挙句、うまく行かなくて宋帝に電話するところ、可愛すぎかw
気持ちを確かめ合って恋人になった二人が”実習の続き”を無事できるのか...「肝心な話ができていない二人」っていう〆も、この二人にピッタリなオチだったw

二代目平等と二代目泰山 [ 平等の不平等な恋編 ]

冥界の仕事の都合上、子どもの頃から一緒に過ごすことが多かった転輪、都市、平等、泰山。泰山は無害な大型犬のようにしょっちゅう平等のベッドの中に転がり込んでいて、平等は子どもの頃にピンチを救ってくれた転輪に片想い、転輪と都市は実は両想い...という関係が、ちょこっとしたエピソードの連続した繋がりでわかるようになってる構成がうまいです。
いつもぼーっとしている泰山の指先ちゅっからの「俺にしとけば」って告白シーンは萌え✨泰山は将来スパダリになるだろうなぁ !
この二人は甘〜いラブを育んでいきそう。

二代目秦広と黒笠 [ 秦広のお悩み編 ]

父親である現秦広王は気性の荒さや数々の破天荒伝説を持つ人物なのに、息子の秦広は小さくてかわいい生き物が大好きでほんわかしたお人好しな性格。小さな生き物を見たときのリアクションがかわいいw 
危険な死天山で人間の寿命を回収している黒笠と出会って、黒笠の特殊な事情につき合いながら彼のことを調べていくうちに、黒笠が元々は冥界の住人だということを知り......。このお話が一番BLの雰囲気が濃ゆい。
複雑な事情が解決して黒笠が本来のセイに戻ったあとの二人の様子は、セイに黒笠の時の記憶がなくてちょっとせつない。でも最後の見つめ合いは秦広と黒笠ではなく、秦広とセイとしての物語が新たに始まったという余韻を感じさせるものだったので良い✨くろすけもセイの弟達も可愛くて、きっと二人の未来の関係はほのぼのとしつつ、にぎやかなことになりそう✨秦広の押しの弱い性格からして、セイと恋愛関係に発展するにはかなり時間がかかりそうだけどw
黒笠を助けるために動いた秦広の行動が、期せずして父親の秦広王の「根性なしの息子」という評価を覆すことに繋がるところクスッとしたw



と、こんな風に3カプそれぞれに味わいがあって、とてもよかったです❗️
みんな馴れ初め編という感じなので、この先にある恋人編的な続編があったら嬉しいけれど、これだけで完結だったとしても大満足&ほっこりの1冊でした✨


では、また!
浅葱 拝