きょう、このBL本、読んだ。

商業BL本(漫画・小説)の感想。ネタバレあり。某文芸編集部編集者/小説編集者歴7年目(+校正者歴3年)。

部長の男 / 鳩村衣杏(イラスト:佐々木久美子)

部長の男 / 鳩村衣杏(イラスト:佐々木久美子)

[あらすじ]水科康太という純朴な青年を、一人前の使える男にすること……それが、出世を条件に、印刷会社広報部部長・日下部に課せられた任務だった。容姿に恵まれ処世術にも長け、仕事も恋愛も順調な男盛りのゲイである日下部にとって、真面目だが無愛想で目つきの悪い康太は、食指も動かない取るに足らない相手。しかし彼から予想以上に懐かれ好かれて、ペースを乱される。一途な想いをいじらしく感じた衝動で、日下部は康太を抱いてしまい……。【イラスト入り】




[感想]
日下部が水科を工場から広報部に引き抜いた理由が、工場の視察で一目惚れとか、実は過去に会った事があって、とかいうありがちネタではなくて、社長から勅命を受けて出世の足がかりにするため、という一癖ある設定が斬新に感じた。
印刷業界と広報という仕事部分の掘り下げもしっかりしてるので、日下部の”仕事のできる男”っていう設定が、設定だけじゃなくてリアルにできる男を感じさせて、日下部のキャラはすごくいい。
ただ水科のキャラがなぁ…。純朴で一途で童貞で心がかなりの乙女で…ていうのはいいけど、いくら純朴で人づきあいをしてこなかった青年でも、工場での人間関係は円滑で飲み会にも参加して可愛がられてたんだから、仲間達の合コン話とかおっさん連中の「女ってのはなー」的な話は耳に入ってると思うんだよね。なのにあの合コンエピソードのところとか、あれが本心から女の人の行動って何もわからないって天然な反応だったとしても、なんかあざとく感じてしまうわー。他の部分の仕事関連の事柄はリアル寄りに描写しているのに、あの水科の部分だけ浮いちゃってるのがなんとも...。恋愛未経験で一途で頑なに日下部のことが好きって気持ちは伝わるけれど、キャラとしてはイマイチ好きになれなかったな。
あとリバ(挿入あり)があるけど、あれ必要だったかなぁ?水科のキャラ的に怒りの激情をぶつける方法としてレ○プするか?
そういうテンパり方するキャラかなぁ...水科の言動に色々と納得できなかった。



では、また!
浅葱 拝