きょう、このBL本、読んだ。

商業BL本(漫画・小説)の感想。ネタバレあり。某文芸編集部編集者/小説編集者歴7年目(+校正者歴3年)。

そらのだいじな旦那さま / 野原滋(イラスト:サマミヤアカザ)

のちほど9月の幻冬舎フェアで購入したBL小説(全11冊)のまとめ感想記事をあげますが、その中から感想が長くなった数作品は個別記事にしました。
先ずは「そらのだいじな旦那さま」の感想です✨
(敬称略/あらすじは電子書籍サイトの作品内容から)

そらのだいじな旦那さま / 野原滋(イラスト:サマミヤアカザ)

[あらすじ]難産の末に母が亡くなったせいで父に疎まれ、双子の姉の身代わりに人質として新興の小国に嫁がされた捨。しいたげられた生活の中でも捻くれることなく無垢なままに育った捨は、強く優しい夫の高虎に「空良」という名前を与えられ初めて生きる意味を見つける。高虎の役に立ちたいとけなげに振る舞う空良だが夫婦の契りに関しては知識がなく……? 電子限定書き下ろしSSを収録!!

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[感想]
冒頭からこれは好きなタイプの話だと直感。
虐げられていても、それを不幸だともツライとも感じられないくらいの不憫な目にあっている描写がほんと胸にくる...。

伊久琵から隼瀬浦に向かう短い旅路の静けさと、その雰囲気に寄り添う静かな萌えにきゅん...。
死の覚悟を持った旅路の中で、水面に映る月や初めて見る景色を心に留める捨が「お山のてっぺんの景色、一生忘れません」と決心するところとか涙腺緩んだわ...。
名前も与えられずに「捨てられた忌子」という意味で「捨」とときどき呼ばれていた捨が、とても好きだった鳥に美しい名があることを知って、初めて自分にも名が欲しいと思ったところは、高虎の「捨」という言葉の意味の慰めも合わせてじんわり。
前半部分は、ずっと涙腺ゆるゆるしてた。

隼瀬浦に来てから捨が新しい生活に馴染んでいく様子は細かく描写されていないけれど、高虎の弟の次郎丸がいいアクセントになっていて、11歳の耳年増wなところとか、三雲家の嫡男として大事に育てられてる坊ちゃん感が可愛くて微笑ましい。
ただ、ほぼ空良と高虎と次郎丸と魁傑の4人でしか会話も関わりもないので、空良が高虎の家臣たちにどのように受け入れられて行ったのかが全然わからないのが物足りないかなぁ。受け入れられてる様子がないままに、危篤の重傷を負った後に目を覚まして、皆が胸を撫で下ろしたとか阪木が膝から崩れたとか言われても、「え、城に住んでないのにいつの間にそんな受け入れられてたの...?」ってちょっと置いてきぼりにされた感。

高虎さまは最初から最後まで、空良(捨)の心も身体も大事に大事に育んで...まさにスパダリ。目に入れても痛くないぐらい空良を大事に大事にするとこ萌えるし、性のこと何ひとつ知らない空良を少しずつじっくりと開発していく様子もニヤけますw 
一生、甘く添い遂げてください✨

空良(捨)が馬小屋に放置されて生きてきたのに礼儀や言葉遣いを弁えてるところにちょっと引っかかる......かもしれないかなぁ。
でもあの慎ましく無垢な空良(捨)のキャラにはあれがぴったりだから...私はすごく好き(あまり気にしないで読んだ)。


🎉10月17日に続編の「そらのいとしい旦那さま」が発売されます👏🏻👏🏻👏🏻
電子の発売日はまだわからず...私は電子派なので...幻冬舎さま、電子配信よろしくお願い致します(平伏)。


野原滋さんの小説、もっと開拓をしたいなぁ✨✨✨



では、また !
浅葱 拝