きょう、このBL本、読んだ。

商業BL本(漫画・小説)の感想。ネタバレあり。某文芸編集部編集者/小説編集者歴7年目(+校正者歴3年)。

毒の林檎を手にした男 / 秀香穂里(イラスト:yoco)

9月の幻冬舎フェアで購入したBL小説(全11冊)から「毒の林檎を手にした男」です✨
手違いでまとめ記事消しちゃって再掲…泣

毒の林檎を手にした男 / 秀香穂里(イラスト:yoco)

[あらすじ]【イラスト付き】オメガであることをひた隠しにしてアルファに偽装し、名門男子校の教師となった早川拓生は、実直な勤務態度を買われこの春から三年生のアルティメット・クラスの担任に就くことに。大学受験を控えた一番の進学クラスであるクラスを任されひたむきに努力を重ねる早川だったが、悩みの種が一つあった。つねにクラスの中でトップグループに入る成績のアルファ・中臣修哉が、テストを白紙で出すようになったからだ。中臣を呼び出し、理由を尋ねる早川だったが、「いい成績を取らせたいなら、先生、俺のペットになってください」と強引に犯されてしまい…。
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[感想]

αと偽っているΩの教師が、圧倒的αの生徒に支配される話と見せかけて、実は生徒αはαと偽っているΩで......でも真相は生徒は本当にαでした、という複雑トラップが仕掛けられてるw まさに二転三転。

ただアルティメット・クラスというαの中のさらに選抜されたαを偽れるΩとかないでしょっと違和感が先に立つので、そこは読み手としては騙されないと思う。だけど、なぜ生徒が自分自身のことを偽りのαでΩだと思っていたのか、というところが毒親の家庭環境から来るもので、その設定が同じように毒親の元で育ってきた教師の早川と重なるという共通点のあぶり出しが上手い。

早川が中臣に魅かれる理由へ結局なんだったんだろう。
αと偽るΩ同士として中臣に魅かれるのか、毒親の家庭環境が重なって中臣を放っておけないのか、運命の番だからか......。個人的にはこの話にオメガバースの運命の番論的な要素はあまり感じられなかったけれど(そこがかえって良い感じだった)、複雑な糸が絡み合いながら、最終的にものすごく濃厚な愛情をお互いに抱いて、自分達の生き方を見つけ出すいい終幕だった。

中臣の毒父は権力と自己顕示欲を満たすためだけにDVする偏狭でチンケな糞爺で、早川の母親は偏狭的なアルファにすがるオメガ思想で...ほんと二人はあの家から離れられてよかったわ。


では、また !

浅葱 拝