きょう、このBL本、読んだ。

商業BL本(漫画・小説)の感想。ネタバレあり。某文芸編集部編集者/小説編集者歴7年目(+校正者歴3年)。

竜は将軍に愛でられる / 名倉和希(イラスト:黒田屑)

[あらすじ]竜人族の王の末子に生まれながら、二十年を経ても大人になれない厄介者のアゼルは「『25』に関する人間と会えば成体になれる」と告げられる。一族の村を出たアゼルが空から見下ろす街道を、二十五番目に通り過ぎたのはサルゼード王国の将軍ランドールだった。危地へと向かう彼に離れがたさを覚え、アゼルはそばにいたいと願う。そして戦乱で傷ついたランドールと“血の絆”を結んだ時、遂にアゼルに変化が訪れ……!?(電子書籍サイトの作品内容より)
f:id:BLnote:20191225152847p:plain
[感想]

可愛い竜の愛情一直線

一族の中で異質な存在として生まれ疎まれて、放置のような形で成長してきたアゼルの未成熟さが可愛い。
もちろん姿形も可愛いんだけど、それを別にしても、最初の出会いからランドールに興味津々で、離れ難くなって隠れながら後をつけるところ(もちろんランドールには気づかれてるw)とか、あっという間にランドールに懐いてしまうところとか...人間は恐ろしいと教えられてきたのに、人間に対する警戒心が薄くて無垢というか無邪気というか...疑う心を持たない幼さが本当に可愛い。

砦で言いつけを破って柵の外に出て行くお約束の危機的展開を引き起こすのもその未成熟さ故だけれど、その行動がアゼルを幼体から成体へ変身させて、ランドールと血の絆を結ぶ結果に結びつくという...キャラクターとストーリーの運びがとても自然。
でも何度も同じ轍を踏むアゼル.....一生懸命で可愛いけれど迂闊すぎるw

溺愛の両想い

最初から最後までランドールのことが大好きで、ひと時も離れたくないという思いがダダ漏れなアゼルと、幼体の竜のアゼルを見て「小さくて可愛い生き物好き」の性癖が疼いてかーらーの、成体になったアゼルの色香にデレデレになりながら大事にしつつ、蕩けるような触れ合いでアゼルを愛するランドール...お互いに向ける愛情の甘々っぷりがこれでもかっていう程すごいw

アゼルの家族の問題や占い婆への思い、竜人族のこと、寿命のこと、嫉妬心など、解決しなければならない障害が幾つも二人の間に立ち上るけれど、割とあっさり解決するのでハラハラ感は少ない。でも、溺愛と甘々濃度はMAXに詰まっています✨



見つめ合う姿に愛情が溢れている表紙も、幼体の竜の姿をしたアゼルがランドールの右肩に乗っているバックショットの扉絵も、まんま小説の二人!という感じで小説の世界を盛り上げてます。
個人的にはランドール将軍の「小さくて可愛い生き物好き」の部分をもう少し堪能したかったかなw


名倉和希さんの小説を読んだの実は久しぶりなんだけど、文章の明快さと安定感がブレないのですごく読みやすかったです。
名倉さんのファンタジー好きだなぁ✨


では、また!
浅葱 拝