きょう、このBL本、読んだ。

商業BL本(漫画・小説)の感想。ネタバレあり。某文芸編集部編集者/小説編集者歴7年目(+校正者歴3年)。

将軍様は婚活中&新婚中 / 朝霞月子(イラスト:兼守美行)

将軍様は婚活中

[あらすじ]
代々女性が家長を担い、一妻多夫制を布くクシアラータ国で『三宝剣』と呼ばれる英雄の一人、異国出身の寡黙な将軍ヒュルケンは、結婚相手として引く手あまたながら、二十七歳にして独身を貫いていた。そんなヒュルケンはある日、控えめで可憐な少年・フィリオと出会う。偶然の出会いから、互いに相手を好ましく想い合うようになった二人は、それから昼の休憩時間に短いながらも心穏やかな逢瀬を重ねるようになった。癒し系で愛らしいフィリオに対するヒュルケンの想いは、日々深まるばかり。そんな中、三宝剣として肩を並べるインベルグ王子から、結婚すれば相手を独占できると入れ知恵され、クシアラータの求婚時の習わし『仮婚(結婚前に嫁入り相手の家で共に生活する期間)』を申し入れることに。しかし、様々な行き違いから、とんでもない間違いが起こってしまい――!?

将軍様は新婚中

[あらすじ]
異国出身ながらその実力と功績から『三宝剣』と呼び声高い二十七歳の寡黙な将軍・ヒュルケンと、元歌唱隊所属の可憐な癒し系少年・フィリオ。穏やかな空気を纏う二人は、初心な互いへの想いを実らせ紆余曲折の『仮婚』を経て、めでたく結婚することになった。しかし、そんな幸福の絶頂の最中で、ひとつの問題が……。ヒュルケンはフィリオへの愛を募らせるあまり、『婚礼の儀』に向けた長い準備期間が待てないというのだ。フィリオを独占したいヒュルケンの熱い想いは、無事遂げられるのか――?
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[感想]
2冊同時に発売された「硬派で寡黙な将軍と、癒し系少年の、一途な嫁取りファンタジー」シリーズ。

登場するキャラクターは魅力あり。

特に攻めの寡黙な将軍様が、寡黙というか...仕事以外の日常生活ではゆるふわ入った天然で、最初はちょっと頭が弱いのか疑ってしまったけれどw珍しいタイプだし、『三宝剣』のインベルグ王子は、王子らしからぬ下世話さと口の悪さでキャラが立ってた。
受けのフィリオも可憐無垢というのがぴったりのいい子ちゃんなんだけど、ヒュルケンの手綱をイイ感じに握っているしっかり者感がいい。

溺愛と執着と甘々

1巻も2巻も、とにかくヒュルケンのフィリオへの執着と溺愛っぷりがすごい。フィリオを自分以外の者の目に触れさせるのも嫌がるほどのハードな溺愛っぷり。けれど、ゆるふわ天然というヒュルケンのキャラ付けが執着のドロドロした重さからは切り離していて、わりと微笑ましく映る。

1巻は婚活中ということで、フィリオとヒュルケンが出逢ってから『仮婚』を経て結婚に至るまでの騒動を描いていて、二人の関係はキス止まり。
2巻は1巻からの続きで、初エッチに向けたあれこれが中心になっていて、童貞の将軍が直截的な王子のアドバイスw で甘く思いの丈をぶつけて、立派に初夜を努めあげてますw

世界観とか設定とか

フィリオとヒュルケンの初々しい愛情のやり取りに関しては1巻も2巻も大満足。
ただ世界観としては、なんちゃってファンタジー風にとどまっているせいで、せっかくの幻獣エメのエピソードにインパクトがないし、女性が家長を担う一妻多夫制という部分も(物珍しくて面白い設定なのに)あまり世界観に影響を与えていなくて、設定をストーリーに生かせていない描き方がすごくもったいない。


甘々溺愛モノとしてはまさに偽りなしのシリーズなんだけど、そこからもうワンランク小説としての質を引き上げることが出来そうで出来ていないのがかなり惜しい。

あと個人的には、ヒュルケンがフィリオに想いを抱くきっかけとなった十年前の聖歌隊のエピをSSで読みたかったかな。
ペーパー特典とかであったのかしら??


では、また!
最初に記事をupした時に記事タイトル間違ってたので、ブログ村に記事タイ間違ったままで反映されてます...泣いてる。あれ直せないっぽいんだよね...
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浅葱 拝