きょう、このBL本、読んだ。

商業BL本(漫画・小説)の感想。ネタバレあり。某文芸編集部編集者/小説編集者歴6年目。

2019年のBL小説マイベスト的な。

というわけでBL小説の2019年マイベスト的なやつです。

2019年(2019年1月1日〜2019年12月31日の間)に出版されて好きだと思ったBL小説12作品。

  • 2019年は今まであまり積極的には読んでいなかった作家さんの作品を読んだり、苦手だと思っていた作家さんの作品が思いがけず良かったり、ちょっとした発見がありました。
  • あと、表紙買い率も高くて、好きなイラストレーターさんの傾向を自分の中で再確認w
  • 2019年は投稿サイト小説の商業化作品も多かったように思います。出版社が主催している投稿サイトの○○大賞への投稿(応募)作品ではなく、公開されているネット小説の拾い上げ作品は、結構読んだけれど正直よくこれで出版ラインに乗せたなというレベルのものもあり、そういう作品は毎月の購入記録にも入れてません。中にはあと何作か読んでみたいと思わせる作家さんもいて、そういう方は購入リストに載せています。
  • マイベストは順位をつけず、気に入った作品を一覧にしています。

(順不同/敬称略/あらすじは電子書籍サイトの作品内容から) 
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甘くて切ない / 月村奎(イラスト:yoco)

ショッピングモールにあるメガネ店で働く律は、幼い頃から不仲な両親を見て育ったため、他人と距離をおき、ひとりで過ごすことに慣れていた。そんなある日、ふとしたきっかけで人気作家の西 倫太朗と知り合い、高校生の弟とふたりで暮らしている倫太朗の家に、料理を教えに行くようになる。人と親しくすることを恐れ、誰かに恋することも、触れられることもなく生きてきた律だけれど、倫太朗といるうちに、やさしさや幸せを知るようになり!?

ひとこと:
薄い空気の中で最低限の呼吸をしてひっそりと生きているような受けが、自分から気持ちを伝えることができるようになるまでの丁寧な歩みを、甘くせつなくまとめ上げられていて良い。月村奎さんの作品に登場する内気でネガティブなタイプの受けは、作品によってはそれがうざ過ぎて受け入れられないことがあるけれど、この作品の律のキャラクターは好きです。
📌こちらに感想記事あります。
blnote.hatenablog.jp


黒帝は穢れた魔物に愛される / 沙野 風結子(イラスト:奈良 千春)

「誰にも裸を見られてはなりませぬ」海神の国の帝・キリイの肉体には秘め事がある。もしそれが暴かれれば、自分は殺され、この国は敵国ギメイルの侵略を許すことになるだろう。だが、素性の怪しい薬師のスザクに不敬を働かれ、秘所を見られてしまった。「刀を収めろ。まるで乱暴された姫君のようだぞ」そう嗤うスザクに、キリイは憎悪と疑惑とともに妙な安らぎを覚えて――!? 快楽の闇の中で探り合うような関係。それはこの世界の運命をも動かし始める――。

ひとこと:
このワダツミ3部作は単作品としてもシリーズ作品としても、丹念に練られている各々のストーリーとそこに当てはめたキャラクターの組み合わせがぴったりとはまっていて巧み。1、2作目で非道な人物だったキリイが、自身の肉体の秘密に苦悩し、スザクに反発しながらも魅かれていく展開は王道だけど、多方面に散らばる愛憎が複雑に絡まりながら一つの終結に向かう過程に読み応えがある。シリーズ1作目の「帝は獣王に降嫁する」が一番オーソドックスなBLで、2作目「神子は奴隷王に繋がれる」は糖度が高く、この3作目は完結篇としてのストーリー性とメインキャラの色気が魅力的です。


灰の月 上下  / 木原音瀬(イラスト:梨 とりこ)

本橋組組長の息子・惣一は5年前に敵に襲われたトラウマで、一時も1人きりでいることができなくなってしまった。同時に押し込めていた自分の性癖も暴かれてしまう。性欲処理を寡黙なボディガードの嘉藤が見ている前で行っていたが、ある日道具の代わりに嘉藤自身をねだると彼は命令に従い惣一を抱いた。感じたことのない強烈な快感にもう一度とねだるが、嘉藤に「抱くのであれば女の方がいい」と拒絶されてしまい…。『月に笑う』の山田と路彦のその後のエピソードも収録。(上巻より)

ひとこと:
深く心をえぐられる作品。でもところどころちょっとどうなのかなぁと思う部分もあり...そのうちがっつり感想をあげたい。
余談ですが個人的にヨネダコウさんの「囀る鳥は羽ばたかない」の矢代と百目鬼の行き着く先がこの「灰の月」のイメージです。


えとがみ-干支神-  / 犬飼のの(イラスト:yoco)

祖母と総菜店を営む瞬は、過去のトラウマによる対人恐怖症を抱えながらも、日々仕事に励んでいた。そんな瞬の前に、村が祀る干支神の一柱である寅神の皇子・百艶が現れる。天界を追われたという百艶は、瞬を気に入り世話係に任命すると、家に転がり込んできた。奔放な彼に振り回される瞬だったが、次第にその心根に惹かれていき、百艶もまた、瞬を溺愛するようになる。ところが、雷鳴と共に思いもよらぬ出来事が次々と起きて……!?

ひとこと:
イラストが世界観にぴったりで百艶様と瞬の魅力が倍増。物語も番外編もイラストも素敵で大満足の1冊だった。百艶様好きだわぁ。ただわりと早い段階で現世の生活に慣れてしまうのがもったいなくて…もう少し天界での暮らしぶりとの差異を感じさせてほしかった。隻眼となって瞬と生きることを選択した百艶様もだけど、天界の住人の翠綺様も冥界の冥王様も魅力的な人物なので、スピンオフがあればいいなぁ。


ルドヴィカの騎士 ~奇跡の泉・銀~ / 尾上与一(イラスト:央川 みはら)

「この方を、わたしの騎士にしてください!」《聖ルドヴィカの泉の奇跡》を起こすハイメロート家。その嫡男で司祭候補のマティアスは、鍛冶屋の息子のレーヴェに命を助けられ、彼を自分の騎士にと願う。レーヴェもまた、純真無垢なマティアスを唯一の主と敬愛し、将来司祭となる彼に仕えるために騎士を目指すことに。しかしある日、瑞霊からマティアスを庇い、レーヴェが倒れてしまって…!?泉を舞台に繰り広げられる二人の奇跡のクロニクル。シリーズ第二弾!

ひとこと:
奇跡の泉シリーズ1作目の「アヴァロンの東」はキャラクターの心情が読み難く、必要以上にストーリーを練りあげた印象があって納得できない部分があったけれど、こちらの作品は正統派の出来栄えで、作品の魅力がまっすぐに伝わってくる。物語が進むにつれて1作目との時間軸が重なってストーリーが進んでいくところや、レーヴェの父親の「蹄鉄ぐらい打つでしょう」という言葉に込められた真意がわかるところ等々、伏線から全体をまとめる構成が簡潔なのに丁寧でとても良かった。あと単純に浮世離れしたマティアスのキャラクターがとっても愛らしくて好き。


パブリックスクール ―ツバメと殉教者― /  樋口美沙緒(イラスト: yoco)

由緒ある伯爵家の長男で、名門全寮制パブリックスクールの監督生(プリフェクト)――。なのに、制服は着崩し、点呼や当番はサボってばかりのスタン。同学年の監督生・桂人(けいと)は、密かにスタンを敬遠していた。卒業まで、極力目立たず、無害な空気の存在でいたい――。ところがある日、桂人はスタンの情事を目撃!! 見られても悪びれない態度に、苛立つ桂人は優等生の仮面を剥がされてしまう。さらに、二人一組の当番で、スタンのお目付け役を任されて!? 栄えある寮代表(ヘッドボーイ)の座は、誰の手に――!? パブリックスクールを統治する、監督生たちの秘めた激情と恋!!

ひとこと:
800ページ越えの物語を、いくつかの主題を絡ませながらダラけさせない進行と構成でまとめ、主人公の桂人とスタンの感情の動きを最大限に描写していて、ぐいぐいと引き込まれた。
パブリックスクールシリーズは、孤独を抱えた未発達な登場人物たちの幼少期から青年期にかけた心の動きを追いながら、愛のあり方について模索しているところが魅力ですね。礼とエドの関わり方よりもこの作品の桂人とスタンの関わり方の方が好き。脇を固めるキャラクターもこの「ツバメと殉教者」の方が内面の深奥さが描かれていて、特にメンべラーズには興味が沸いた。あんな風にすべての物筋を俯瞰的に捉えて生きている人は、どんな孤独を抱えて、どんな愛を求めるんだろう。
礼とエドの物語は2作目以降ソープオペラちっくになりつつあって、少しダラダラと冗長になりつつあるので、この「ツバメと殉教者」の凝縮された物語はとても良かった。このシリーズはうきゃーっとなる萌えではなく、んんんんって身悶えるじわっとした萌えがつまってて、お約束のすれ違い展開も美味しいです。そのうち感想記事上げます。


王子は無垢な神官をこよなく愛す / 釘宮つかさ(イラスト:みずかねりょう)

『手を触れた者の運命の相手が見える』という不思議な力を持つナザリオは、第一王子の花嫁を占ってほしいという大国からの依頼を受けた。ようやく着いた目的の国で最初に出会ったのは、偶然にも第一王子のレオンハルトだった。レオンハルトは、ナザリオが自分の花嫁を占うためにやってきたと知ると態度を硬化させ、すぐさま帰国するよう促した。だが、なんとか占う許可を得たナザリオが見た、王子の運命の相手は──。

ひとこと:
真面目で天然無垢な神官のナザリオと、無骨だけどこちらも真面目で実直な第一王子のレオンハルトが、徐々に関係を近づけていくのがとても萌え。ナザリオのお供のフェネック ? 二匹がレオンハルトといい具合に絡んでいくのが可愛い。ずっと奥ゆかしかったナザリオがレオンハルトの元へ駆けて行って想いを告げるところも、レオンハルトが初恋ゆえにちょっと暴走気味なエロでナザリオを愛するのも萌えだったし、こういう優しい王道ファンタジー好き。
釘宮つかささんの小説はずっと以前に読んだ現代物(再開発の立ち退きを拒否する受けのやつ...タイトル失念)が合わなくて避けてたんだけど、この作品はすごく気に入りました。


そらのいとしい旦那さま / 野原滋(イラスト:サマミヤ アカザ )

双子の姉の身代わりとして隼瀬浦領主の長男・三雲高虎に嫁いだ空良。名前もなかった自分に「空良」と名づけ、男でも厭わず溺愛してくれる夫とともに穏やかな日々を送っていたが、高虎の父、現領主の時貞から、世継ぎのために高虎に女の正室を迎えるよう説得して欲しいと告げられてしまう。苦悩の末、空良が下した決断とは?

ひとこと:
野原滋さんの作品の中でも「そらのだいじな旦那さま」シリーズはかなり好きです。番外編の同人誌も通販でgetしてますw 同人誌はKindleで電子化もされてるみたいですね。
📌こちらに感想記事あります。
blnote.hatenablog.jp


蜜通 / エナリ ユウ(イラスト:雪路凹子)

六歳の小さな手から、俺は大切な宝物を受け取った――。榛名は、初恋の男の息子・涼一を男手ひとつで育てることに。しかし涼一が高校生になった時、ゲイであることがバレてしまう。嫌悪されたと思い距離を置いた榛名だが、社会人になった涼一に「アンタのことが好きだ」と情熱的なキスをされ、息子同然の彼に身体まで翻弄されてしまい…! 執着年下ワンコ×ツンデレ弁護士、恋の攻防戦!

ひとこと:
2019年の新人作家さんの中から1作品選ぶとしたらこちらかな。王道の設定を飽きさせない文章力と、萌えとエロが上手くまとまっていました。


アンダーエール! / 砂原糖子(イラスト:小椋ムク)

百九十センチから見下ろす威圧感で、強面な剣道部のエース──。そんな親友・桝木(ますき)の部活を、毎日放課後に見学していた折川(おりかわ)。表情筋に乏しく不愛想な親友の良さがわかるのは俺だけだ…。ところがある日、桝木が学校一の美少女と付き合い始めて!? 「おまえが見てないと集中できない」無自覚に煽られても、応援するふりで熱く見つめることしかできない──決壊寸前の、甘く切ない青春エール。

ひとこと:
流行りのテーマや題材ではなく、高校生の青春を奇を衒うことなく実直に描いていて、それが逆に新鮮に感じさせられた。攻めが受けを好きになった心情にはあまり触れられていないし、折川の行動に軽率さを感じたりもするので、文句なしにキャラクターに魅力を感じるかというと決してそうとは言えないけれど、そういう部分も含めて、高校生の説明し難い青さみたいな部分が作品の味となっているんだと思う。


掌の花 / 宮緒葵(イラスト:座裏屋蘭丸)

エリート弁護士・宇都木聡介の元に依頼人として現れたのは、高校時代の元同級生で、ネイリスト兼実業家の黒塚菖蒲。相続トラブルを抱えた菖蒲のために、聡介はしばらく彼の家に同居することになる。華道の家元の息子で絶世の美少年だった菖蒲とは、かつて身体を慰め合った仲だった。大人になっても壮絶な色気を含んだ菖蒲の手は、爪先を朱色に染めて淫靡に聡介の身体を求めてくる。戸惑いながらも愛撫を受け入れてしまう聡介。その執着は年月と供に肥大し、強い独占欲を孕んでいるとも知らずに――。

ひとこと:
掌シリーズだと前作の「掌の檻」の方が、執着の異様さの粘度も濃く作品としての完成度もあちらの方が好きなんですが、2019年に出版された宮緒葵さんの執着攻めの作品としてマイベストからは外し難い感じで。
📌こちらに感想記事あります。
blnote.hatenablog.jp


ロイヤル・シークレット / ライラ・ペース(訳:一瀬麻利・イラスト: yoco)

ニュース配信社の記者、ベンジャミンは、英国の次期国王ジェイムス皇太子を取材するためケニアにやってきた。滞在先のホテルの中庭で出会ったのは、あろうことかジェイムスその人だった。雨が上がるまでの時間つぶしに、ベンの部屋のテラスでチェスを始めた二人は、駒を取られるたびに一つ秘密を打ち明ける取り決めをする。それは軽いゲームのはずだった。しかしいつのまにか二人の間に不思議な感覚が通い始め――。世界で一番秘密の恋が、いま始まる。

ひとこと:
興味のなかった海外翻訳BL作品も悪くないと思わせくてれた小説です。
📌こちらに感想記事あります。
blnote.hatenablog.jp


では、また!
浅葱 拝

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