きょう、このBL本、読んだ。

商業BL本(漫画・小説)の感想。ネタバレあり。某文芸編集部編集者/小説編集者歴7年目(+校正者歴3年)。

1月に購入したBL漫画(全12冊)

もう2月が終わろうかっていうのに、今頃1月のBL漫画購入記録を...。
1作品のみ未読だけど、今回、なかなかいいチョイスだったと自画自賛の読了ラインナップです。

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(順不同/敬称略/あらすじは電子書籍サイトの作品内容から)

さよならスーパーダーリン / 蛭塚タウン

[あらすじ]全寮制エリート育成学校・スパダリ学園。中等部から進学した財前財閥の御曹司・財前奏は、入学式の日、外部進学の特待生・山本聖司と出会う。2人は学園における「ダーリン制度」でダーリン同士に指定され、寮も同室になった。ダーリン同士の2人のうち、2年に進級できるのはどちらか1人だけ。1年後、2人は合意の元に進級する1人を選ばねばならない――!相手の屈服させ、真のスパダリとなれるのは――!?


ひとこと感想:
「アルファ戦隊 アルレンジャー」の時の思ったけれど、ふざけた内容に見せかけて意外にも純な愛を描く漫画家さんですよね。6年後のSF展開だけはぶっ飛びすぎてて、置いてけぼりにされたw 直前まで割とせつない感じだったので余計に落差がw


人でない狼(1)  / 元ハルヒ

[あらすじ]深い森に棲むやさしき人狼と人の運命の恋――。人狼のジェオと小狼のテオは、ある日森で友人を探す男と出会う。その男は、街の警備隊長――ロッド。病弱なテオの薬のためにジェオは人探しを手伝うことに。そして森で忌み神にあてられたふたりは、どちらともなく抱き合い、一夜を過ごす…。秘密を抱えたままロッドを好きになってしまったジェオは、ある決断を!?



ひとこと感想:
作家さん買いです。「マウリの竜」も好きだったけれど、こちらはもう少し重苦しい空気感で、東欧の薄暗い世界観っぽい印象が超好み。カシオがどういうキャラクターなのかまだはっきりとはしてないけれど、真面目な隊長さんという感じのロッドに対して、悪い男の魅力がにじんでる「俺の犬だ」のシーンがクールでかっこいい。ジェオの醸す薄幸感のせいか、あまりハッピーエンドを想像できない...バッドエンドまではいかなくてもビターエンド的な結びになったりするのかなぁ...。テオとジェオとロッドで静かに暮らせるようになればいいなぁ。


肉食組曲(1) / ダヨオ

[あらすじ]ゲイが3人集まれば、恋の話で盛り上がる!職業も性格もバラバラだけど仲良しの三柴、千之助、平良は、焼肉屋「いざ」でモリモリ肉を食べながら、お互いの恋を励まし合ってきた。印刷会社に勤める三柴は、才覚があり、人をやる気にさせる優秀な営業マン。しかもイケメンでいい匂いがすると社内外でも評判!そんな三柴は、同じ会社の印刷職人・白瀬に想いをよせている。お願いごとにもキッパリ「嫌です」と言えちゃう、ちょっと冷たい年下くんなのだが、酔うとフワッとほぐれていく不思議な個性。しかも可愛い~~のだ。さて、三柴の片思いは叶うのか…?電子書籍限定描き下ろしマンガ2ページ&雑誌掲載時のカラーを特別収録!

ひとこと感想:
仲良しゲイ3人のオムニバス形式の恋模様。印刷会社の営業×職人の話は一番オーソドックスなBLという感じ。2カプ目の同人作家同士の話は、恋愛未満どころか友人未満から始まる関係の青春ドラマ感があって、コミュ障でネガな平良が一生懸命声を振り絞ってひったくりのバイクを追いかけてからのくだりはホロリとしちゃったw 3カプ目は幼馴染みの焼肉屋×元ホストで、せつないわー。続き気になるわー。


優しいパンツの脱がせ方@進路 / まさき茉生

[あらすじ]長年の両片想いを経て晴れて恋人同士になった幼馴染の谷内野悠真と志田綾平。幼少期から高校までずっと一緒にいた二人だが、大学進学を控えた高3の春、綾平は進路に悩んでいて――。大人気作品『優しいパンツの脱がせ方』電子限定描き下ろし番外編!




ひとこと感想:
進路の悩みといっても大して深刻さを感じさせないイチャイチャ&エロの短編。


オールドファッションカップケーキ / 佐岸左岸

[あらすじ]寝て、起きて、仕事をする──それだけの毎日、それだけを好きで選んでいる自分に最近少し憂鬱な39歳・野末。ちょっと無愛想だけど信頼厚い部下29歳・外川は、そんな野末が気になる。ひょんなことから、女子で賑わうパンケーキのお店に2人で行くことに。ここから、外川による野末のためのアンチエイジング大作戦が始まった。休日まで野末のために時間を割く外川に「なぜ?」が募っていく野末だが…!?


ひとこと感想:
う〜ん、良くも悪くもない感じ。ポイント的にすごくいいなと思うところもあるんだけど、全体としてはあまり印象的ではなかった。「春と夏となっちゃんと秋と冬と僕」は4コマで日常の萌えを集めた構成だったので、ポエミーでリリカルな部分がプラスに働いてたんだなと思った。でも気になる漫画家さんなんで次作も期待してます。


初恋不全モラトリアム / 黒井つむじ

[あらすじ]失くしてしまった初恋の人形に執着し捜し続ける伊勢哲也。人間に興味はないが、人形そっくりの佐久慧悟と知り合い、成り行きから同居することに。人形以外欲しいものはなかったはずが、佐久によこしまな想いを寄せる男たちに嫉妬し、独り占めしたい欲求が芽生え始め――!? いびつな愛に悩む青年の恋着と初体験。



ひとこと感想:
失くした日本人形の顔に、記憶の改竄で理想の顔を思い描いていることに無自覚な攻めが、その理想の顔の青年と出会ったことで、とどまり続けた過去から一歩を踏み出すという過程を、人形探しというエピソードに重ねていて...う〜ん、終始、強引というか不思議な展開だったけれど、登場人物の歪さは感じられた。なんだか不思議な読了感。


今日に還る / 加東セツコ

[あらすじ]正体不明の美青年に隠された、哀しい過去と優しい記憶――田舎に一人で暮らす母の急逝を受け、帰省した会社員の綴(つづる)。悲しみに暮れながら訪れた実家で待っていたのは、従兄弟のソラと名乗る青年だった。親戚やご近所さんとも親し気だけれど、その泣き腫らした瞳になぜか全く見覚えがない。「大丈夫、あの頃も今も、絶対に綴を一人にはしない――」自分だけが思い出せない後ろめたさを感じながら、ソラの隣だけが心の拠り所になっていく。少しずつひも解かれる幼い記憶の断片に、彼の姿を探すけれど…!?【電子限定版】描き下ろし番外編収録。

ひとこと感想:
ソラの存在の真実が見えない重苦しさだけを漂わせながら物語は淡々と進み、真実が見えた後は、それはそれでなんとも言えないせつなさが待っていたけれど、淡々とした運びで物語は帰結する。この空気感は嫌いじゃないです。幸せになって欲しい、という純粋に願う気持ちだけが生まれる作品だった。


のみ×しば / 田倉トヲル

[あらすじ]全寮制の男子校に入学して早2年、恋とは無縁の野宮に異変!? 女の子顔負けの可愛さを誇る同室の御子柴を見るとドキドキするのはなぜ? 俺が好きなのは柔らかいおっぱいのはずなのに…! 理性と本能が交差する、思春期男子の青春ドタバタラブコメディ。




ひとこと感想:
いやーっキュン死しそうになったw いいねいいねー、この甘酸っぱいDKの青春、もどかしさが輝いてるよ。田倉トヲルさんが幻冬舎で連載している「こいものがたり」もDKの青春と友情と恋の物語だけど、あちらはマイノリティの悩みを描いている部分もありシリアス調なので、この「のみ×しば」のコメディタッチな方が取っつきやすいかな。私はどちらも好きだけど、テンション高く萌えーー!ってなるのはこっちだな。登場する男子がみんな一癖あるのに”いいヤツ”ばっかりなのも好感触。両片想いからようやく...の超絶いいところで次巻へ続く!!...悶えながら待ちますw


LOVE&HATE / 高城リョウ

[あらすじ]かつては美貌を武器に探偵として名を馳せていた一吾。ところが、すっかりくたびれたオッサンになってしまった今、日々の生活にも困窮していた…。 そんな一吾の元に、九鬼乙英と名乗る男が依頼にやってくる!!久々の報酬金に張りきる一吾だったが、あえなく失敗…。挙句に依頼人である九鬼に助けられる始末…。 ところが、依頼はついでで本当は一吾に会って確かめたいことがあった…と、九鬼にいきなり迫られてしまい!?


ひとこと感想:
受けが40歳のオヤジという設定だけど見た目が麗しい青年のようで無理があり過ぎたw そこをスルーすれば話自体は全体的にこざっぱりとまとまっていたかな。攻めが傲慢系かと思いきや意外と純情で、必死な追いかけ方も一途なワンコみあって嫌な感じじゃないのはよかった。でもやっぱり受けが見た目年齢も内面もちょっと若々しすぎるし、依頼のこない探偵事務所でうらぶれたおっさんという設定が全く活かされてなくて残念。


しっぽ隠して恋隠せず / 富塚ミヤコ

[あらすじ]広告代理店で働く八重坂は、冷え性の人見知り。いつもあったかい格好をしてひっそり過ごしているが、実は「ネガティブな感情がきっかけで、イグアナ化」してしまう体で!?そんな八重坂の秘密を知った営業の太賀は、気味悪がられると怯える八重坂に「友達になりましょう」と笑いかける。太陽のような彼に八重坂も心ほぐれていくが…。年下営業リーマン×イグアナ化する先輩のあったかオフィスラブ★笑顔が苦手な研修医のメディカルBL『志摩くんと先輩外科医』を同時収録☆

ひとこと感想:
人外がもふもふ系は定番だけどまさかのイグアナ。しかも結構リアルな描写されてて爬虫類苦手なんだけどなぁーと思っていたけれど、八重坂さんの生真面目に真っ直ぐ頑張る姿や、ワタワタと動揺する様子がほっこりで、イグアナ型でも可愛く見えたw 攻めの太賀くんの包容力もとっさの判断力もすば抜けてて、 攻めも受けも両方心が綺麗な人たちの清らかな空気が愛おしくなる。初読みの漫画家さんだけどこの話、とても好き。短編の読切が1作入ってるけど、そちらは平凡でなんの感想もわかないw

Lover Santa Claus (上)(下)  / 九重シャム

[あらすじ]幸せとは無縁の環境で育ち、「D」という通り名で闇社会を孤独に生きる青年・出羽翼。ある日、財布を拾った縁でお人好しそうなリーマンの市蔵五百利と出会った。翼の刹那的な生き方の裏にある、優しさと寂しさに気づいた五百利は、翼に同居を持ちかけるがーー!?魂を揺るがす衝撃のダークファンタジー、上下巻同時発売!!



では、また!
浅葱 拝