きょう、このBL本、読んだ。

商業BL本(漫画・小説)の感想。ネタバレあり。某文芸編集部編集者/小説編集者歴7年目(+校正者歴3年)。

㊗️ on BLUE 9周年❗️

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祥伝社のBLレーベル on BLUE ㊗️ 9周年✨

ということで、私が持っているon BLUE 作品をまとめてみた❗️
この他にも借りて読んだ作品が色々ありますが、あくまでも私が購入して所持しているon BLUE作品です。

on BLUE はクセのある作品が多い印象ですが、好きなレーベルです。

秀良子さん

■STAYGOLD 1〜5 ■宇田川町で待っててよ。 ■年々彩々
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ひとこと:
秀良子さんは「宇田川町で待っててよ。」を読んで心を掴まれて、その後作家買いするようになりました。心の不安定さ、不器用さ、複雑な感情の動きを、繊細になりすぎず、かといって大袈裟すぎもせず...という等身大の描写の振り幅で描いているのに、読み手側の心に感情的な動きを生み出すところがとても魅力的だと思っています。


はらださん

ワンルームエンジェル
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ひとこと:
たぶん他社の作品も含めてはらださんの作品は、最新作の「ハッピークソライフ 」以外はすべて読んでいると思うんですが、はらださんの作品の登場人物は、残酷さもアホエロさもクソっぷりもとんでもない闇(病み)も、どこまでもとことん晒すのに、読み手が感情移入するのを拒絶する距離感を持っているというか、近づかせないぐらい濃密に閉じられた世界の中にいるように感じるので、読み終えたあと、どんな感想を抱いたら良いのか自分でもよくわからなくなります。突き放されて突き落とされるというか。
この「ワンルームエンジェル」はそれまでの作品とはまったく趣の違う作風になっているのに、やっぱり彼らの心情に近づくことは許されない感じがするというか、表面的にわかった気になるなと言われるような気がして、感想を書こうにも上手くいかなかったという...w
2019年のマイベストに入れるべきか一番悩んだ作品がこの「ワンルームエンジェル」でした。


くれの又秋さん

■愛し
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ひとこと:
くれの又秋さんの作品の中では、この作品が一番好き。「BL史上、最高のリバ、誕生」というキャッチコピーがついているけれど、私はリバに思い入れがあるわけではないので、これがBL史上最高のリバなのかはわからなまま今に至りますw 

緒川 千世さん

■赤のテアトル
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ひとこと:
これ定期的に読み返したくなって、読む度に鬱々となってしまうのにまた読み返したくなる。病み系の緒川千世さん作品の中でかなり気持ち悪さがズーンとくる作品なんだけど、愛なのか憎しみなのかがわからなくなる泥沼な関係を必死で繋ぐ主役二人の関係が妙に癖になるというか、読み返したくなります。
緒川千世さんも単行本の9割ぐらいは持ってるかなぁ...。「カーストヘブン」は一時期、離脱しそうになったけど...。今、マガジンビーボーイ連載中の「やまない不幸の終わらせ方」も早く単行本になって欲しいと思ってるんだけど、昔描いてたみたいな「ラクダ使いと王子の夜」のような純粋で真っ直ぐな優しさとせつなさが同居しているような作品も久しぶりに読みたいなぁ。


のばらあいこさん

■寄越す犬、めくる夜 1〜4
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ひとこと:
いよいよ佳境に入ってきて完結も見え始めた「寄越す犬、めくる夜」。4巻の感想でも書いたけれど、「菊池には敵わなかったけれど、新谷くんのことがほんとうに好きだったよ」って須藤の言葉で、須藤の終わりが近づいているような気がする。それを裏切って救って欲しいと思う気持ちと、ここまできて3人でハッピーエンドになったら興醒めするかもしれないと思う気持ちで、なんだか私の中で訳のわからないハッピーエンド vs バッドエンドの葛藤が渦巻いてる。
のばらあいこさんはもう一つの長編人気作「秋山くん」(東京漫画社)が合わなくて1巻で脱落しちゃったんだよね...。


西本ろうさん

■この背中に爪を立てて
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ひとこと:
不倫だからゲスとかいうわけじゃなくて、人間性がゲスく自分のことだけしか考えていない人物しか出てこなくて誰にも共感できず、正論吐いた人物すら好きになれなかったw そういえばCannaの「トワイライト」も登場人物好きになれなかったんだよね...。でもストーリーは読ませる系で気になるから、何だか購入してしまう作家様です。


朝田 ねむいさん

■Dear, MY GOD
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ひとこと:
雰囲気が文学的で独特の世界観が好き。でも中盤にもっと背徳感が欲しかったかも。人気作の「マイリトルインフェルノ」は上下巻それぞれの試し読みで、ノリが合わなさそうと思って読んでいないんだけど、気にはなってる。すっごく気になってる。


松本ミーコハウス さん

■ 美しい野菜(全3巻) ■お遊びはそこまで
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ひとこと:
実は松本ミーコハウスさんの絵は苦手なんだけど、「美しい野菜」の1巻試し読みで異様に気になって購入した後、SMとか道具を使ったプレイとか好きじゃないのに、ストーリーが興味深くて全巻そろえて、スピンも買ってしまったw 説明しきれない魅力を感じたシリーズです。


京山 あつきさん

■ヘブンリーホームシック ■3番線のカンパネルラ ■スリーピング・バグ
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ひとこと:
京山 あつきさんの作品は、派手さのまったくない物語の中で、心理描写を丁寧に重ねて攻めと受けの関係性を築いていく作風がどこまでも誠実で心に染み込みます。

「3番線のカンパネルラ」は過去に感想を上げています📌
blnote.hatenablog.jp


彩景でりこさん

■蟷螂の檻 1〜4
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ひとこと:
彩景でりこさんの歪んだ人間関係や愛憎劇がすごく好きです。3巻から典彦の狂気が読む人を選ぶ状況に突入しているので、このままどこまで突き進んでいくのか...典彦と育郎がタイトルについている”蟷螂”の生態通りの結末に行き着くなら...闇エンドだよなぁ...。


犬居葉菜 さん

■狼への嫁入り〜異種婚姻譚~
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ひとこと:
2019年マイベスト漫画にも選んだこちらの作品。次作も楽しみな作家様です。

「狼への嫁入り〜異種婚姻譚~」は過去に感想を上げています📌
blnote.hatenablog.jp


藤原旭さん

■忍べよ! ストーカー
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ひとこと:
感情過多で全然忍べてない忍びの紅丸と、天然の領主・獅之介のボケとボケの関係性が面白いw 二人を取り巻く人物たちも悪意や毒心がなくて、嫌な気持ちになることなく1冊を楽しめます。


ダヨオさん

■YOUNG BAD EDUCATION ■YOUNG GOOD BOYFRIEND ■YOUNG GOOD BOYFRIEND 番外編 メモリー
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ひとこと:
先生の「情けない大人」のくたびれ感が、不器用で臆病ながら恋愛に昇華されていくのがすごく自然。歳の差のある二人がこの先の長く続く人生も二人で歩んでいくんだろうなぁという思いを抱く番外編まで読んでこそのシリーズ作品。


イシノアヤさん

■トリガー
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ひとこと:
自分を偽って生きているつらさの吐け口(発散)としての、脅迫や暴力や相手の人間性を貶める行為が許されるとは思えないし理解したいとも思えないけれど、相手がそれを受け入れて、寄り添って、苦しみから解放する関係になっているので、本人達にとってはハッピーエンドなんだろうけれど、...とても胸糞でしこりを残す作品だと思います。


SHOOWA さん

■ニィーニの森
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ひとこと:
とても好きな作品で紙でも電子でも持ってます。オムニバス形式の一冊で、BLというよりはユートピアを求める動物達の様々な人間模様が、深く心をえぐる物語。ウルフとココの話はせつなすぎて何度読んでも苦しくなって涙ぐむ。


恋煩シビトさん

■溺れる ■バラ色の時代
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ひとこと:
独特の空気感があり、ハッピーエンドであっても読了後に何ともいえない感傷的な気分になるのが恋煩シビトさんの作品の一番好きなところです。


カシオさん

■心を殺す方法 全4巻
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ひとこと:
一人で背負うことのできない重荷を二人で背負って生きて行くという結末の共依存は、個人的な性癖にとても突き刺刺さる。でも正直にいうと萩尾望都さんの「残酷な神が支配する」的な話を書きたかったのかなぁという印象を持った。とはいえ、カシオさんの作品の中ではこれがダントツに好きです。


芽玖いろは さん

■喪服の花嫁
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ひとこと:
📌こちらに感想記事あります。
blnote.hatenablog.jp


雁須磨子さん

■うそつきあくま 上下
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ひとこと:
「好き」と思う気持ちに小さな劣等感や嫉妬心が混じってしまって拗れていく感情...雁須磨子さんの描く”面倒臭い人”ってほんと人間臭くて面倒な人なんだけど、段々とそれがいい意味で呆れつつ叱咤激励したくなる魅力(?)がある。人間のどうしようもできない感情を描いている人間ドラマ。


ためこうさん

■泥中の蓮
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ひとこと:
エピローグのために構成されたストーリが巧み。共依存と執着、兄弟、という性癖どストライク作品。ためこうさんの作品は試し読みでほぼ合わないわー...って感じなのでこの1冊しかちゃんと読了したことがないんですが、この1冊が好きなら他の作品も読まず嫌いなのかなぁ...。


阿仁谷 ユイジさん

■もういちど、なんどでも。 上下 ■もういちど、なんどでも。アフターエピソード ■もういちど、なんどでも。 アフターエピソードの行間の話 ■両片恋のススメ
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ひとこと:
阿仁谷 ユイジさんの作品の、攻めがある一瞬に途方もなく性的に”男”の顔を見せるのがたまらなく好き。「もういちど、なんどでも。」「因果性のベゼ」の時系列に捻りが生じるストーリーは読み応えがありますね〜。


えすとえむさん

■equus
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ひとこと:
異種恋愛譚8編を収録した短編集。とても叙情的で詩篇の様な美しさとせつなさが綴られています。絵と世界観が独特で素敵な作品です。


新井煮干し子さん

■渾名をくれ ■因果の魚
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ひとこと:
自分の解釈があっているのかわからない複雑な2作品です。特に「渾名をくれ」の方は、あとがきによれば元々は「信仰」の話を書きたかったということなので、天羽の頑なさとか、ひっそりとした愛し方とか、自己完結している身勝手さは、多分そういうところから作り上げられたキャクター性なのかなぁ。お互いを好きだということは間違いないんだけど、噛み合わない気持ちでお互いを想っていて、ずっとジョゼが幸せそうに見えないんだけど、結末としては二人でいる幸せにたどり着いていて、すごく難解な二人だった。


山中ヒコさん

■500年の営み
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ひとこと:
自分の行動の”意味”をわかっていないのに尾瀬に向かうポンコツBのことを考えると(Bの行動を追って物語を読むと)泣けて仕方ない。淡々としている物語の運びが余計にせつなさを帯びて、誰の視点で読むかでせつなさの意味合いも変わってくる。山中ヒコさんのBLの中でも一番好きです。


須嵜朱さん

■龍の夫―亡国の神―
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ひとこと:
無骨な絵柄と独特の世界観があります。
📌こちらに感想記事あります。
blnote.hatenablog.jp


では、また!
浅葱 拝