きょう、このBL本、読んだ。

商業BL本(漫画・小説)の感想。ネタバレあり。某文芸編集部編集者/小説編集者歴7年目(+校正者歴3年)。

STAYGOLD(4)秀良子

[あらすじ]
駿人が中山家を出て少し経ったころ。このままの関係で幸せだとかみしめていた矢先、どう転んでか、コウと「キスを許される関係」になってしまった日高。わけもわからぬ夢心地と、あふれだす欲望。気がつけばコウとは、身体をつなげる関係になっていた。たぶん、人生で最高な時間。なのに日高の心には、何故か小さな不安が降り積もって…?10年ぶんのコウと過ごした時間。その一瞬一秒は、永遠に忘れることはない。(電子書籍サイトの作品内容より)
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[感想]
中山家の次男コウの腐れ縁で友達の日高。
日高の10年間の気持ちに寄り添った1冊…むちゃくちゃ良かった。

ずっとコウと日高のことが気になっていたので、スピンオフではなく本編でまさかこんなにも心に刺さる物語を読めるとは思っていなくて、衝撃を受けた4巻。
丸ごとコウ&日高編(最後にチラリと駿人と優士も出てきます)。
嗚呼、せつないなぁ…。という思いで目頭熱くなる。

日高。無口で無表情がデフォだけど、心の声はアップダウンが激しくてめちゃくちゃ饒舌w 教育実習で心身ともに疲れ果てたとこでコウに会って般若心経唱えちゃうような独特の感性w
中学生のときに出会って衝撃の渦に突き落とされるように一発で好きになってから、ずっと友人として接してきていたコウへの想いは、日高の人生そのものだった。

コウ。日高の恋情を知らずにいたこと以外で、コウは日高のことをどんな友達だと思ってたんだろう。ガールフレンド達が入れ替わり立ち替わりする側で、ずっと一番一緒にいた友達って、コウにとってどんな存在だったのかなぁ。コウから見える日高像って全然わからない。
だから「より予期可能性のある方に賭けようと思った」って言葉に込められた真意って「ごめん」って一言より重い気がする…。

「何も知らずに、100年生きるより」

10年を経てコウとの関係に訪れた結末を受け入れる言葉はどこか温もりを感じさせるけれど、今はまだそう思って吹っ切るしかないって強がりを感じさせて、日高と一緒に泣きたくなる。

「うん。寂しい。」

ラストのコウのあの表情にこの言葉。日高と離れてなんらかの去来する感情があったのかな...。その思いは決着をつけたはずの感情を覆すような何かだったらいいのに、と微かな希望を抱かずにはいられない。


STAYGOLD(4)最高によかったです✨
もしあの朝、日高が覚えていたら何かが違ってたんだろうかーーーあそこが二人の関係の分岐点だったって思うんだけど、でもそういうタラレバが必要なわけじゃないんだよねこの漫画の尊さは❗️コウと日高の関係にこの先があってもなくても、この時点でのふたりの物語はせつなさややるせなさを含めて素晴らしかった✨✨✨
駿人&優士編はもちろん気になるけれど、コウと日高のこの先の人生の道のりも知りたいと熱烈に希望!


ではまた!
浅葱 拝