きょう、このBL本、読んだ。

商業BL本(漫画・小説)の感想。ネタバレあり。某文芸編集部編集者/小説編集者歴7年目(+校正者歴3年)。

「カラスの嫁入り」 佐倉リコ

[あらすじ]桜坂稲荷神社の跡取り、神楽坂理央には神使である狐の宇迦様と話せるという特別な力がある。
代々神楽坂家は同じく特別な力をもつ烏城家との身体の結びつきによってその力を維持し、神社を繁栄させてきた。
しかしある日、理央の婚約者・百合がいなくなったという知らせが…!
そして「姉の代わりにしてください」と突然現れた百合の弟の凪に夜這いされてしまい?!
キュートなキツネや小姑のカラスも交えたドタバタお家騒動ラブストーリー!
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[感想]

婚約者に逃げられました

神使のお稲荷様(狐)と会話する能力を次世代に受け継ぐために、婚姻関係を結んできた神楽坂家と烏城家。
主人公の理央が結婚するはずだった烏城家長女の百合さんが居なくなったところから物語が始まって、理央の人となりがすぐわかる ! 百合さんのことを心配するのと同時に、狐と会話する能力には固執していなくて、狐のうかちゃんと話せなくなるのは寂しいけれど、神様の声が聞こえないのは自然なことだと考えてる穏やかで誠実な人✨優しい人柄で裏表がないイケメン...。いいねぇ〜。

役割と居場所がない

烏城家に生まれたけれど神楽坂家に嫁ぐことができない男の子はなんの役にも立たないし居場所がないと思い、孤独な思いをしてきた百合さんの弟の凪。真面目ないい子なだけに、子どもの頃からつらい思い込みを抱えてたんだなぁ...。百合さんが居なくなってその思いが抑えきれなくなって、理央の能力を維持するためにセックスの相手をする役割をくださいとお願いしにくる健気さを発揮
佐倉リコさんのこういう受け君好きだわーーーー 。 大人しくて控えめなんだけどぽやぽやしているわけではなくて、一生懸命がんばってる感じ。「オオカミくんはこわくない」の宇佐美くんとか+垂れたうさ耳で最高に好きだった。ちょっとテイスト違うけど「臆病者にアイラブユー」の勝吾も好きだな✨

結婚はできないけれど

神楽坂家の神社の仕事を手伝いながら理央とどんどん打ち解けていく凪と、凪の素の部分を知り惹かれていく理央。
迷子の子どもの面倒を見たり、理央が足を怪我したり、アクシデントがうまい具合に起こって二人の距離と気持ちが近づいていくのが不自然じゃなくていい !
凪のひとりHを見ちゃって、凪のことをそういう意味で意識してからの理央がちょっときょどって赤面してるのがかわいいw 
男が好きというわけじゃないけれど...凪のことが好きだと気持ちを伝えて、即エッチの展開の速さのお手軽みはどうかと思ったけどw 気持ちも身体も繋げあって、理央は一瞬失っていた”お稲荷様の声を聞く”能力も復活して...。


二人の関係的にはハッピーエンド...になったところで、姿を消していた百合さんが戻ってくるけれど、凪と理央の仲を引き裂くキャラではなく、百合さんのことも含めて神楽坂家と烏城家の決まりごとまで綺麗に解決するという安定の優しさ

物分かりのいい登場人物ばかりで、ストーリー的にも奇を衒ったものではないので、これまでの佐倉リコさんの既刊作品と比べると全体的に薄い印象かなぁ。好きだけど何度も読み返したくなるって感じではないかも...好きだけど...。
それとお狐様のうかちゃんとカラスのコガネに動物のもふもふ感が足りなかったのがちょい不満w


ではまた !
浅葱 拝