きょう、このBL本、読んだ。

商業BL本(漫画・小説)の感想。ネタバレあり。某文芸編集部編集者/小説編集者歴7年目(+校正者歴3年)。

繋いだ恋の叶え方 / 吉尾アキラ

[あらすじ]
運命の赤い糸が視え、そして切る力をもつ「縁切り屋」の薫は、その能力のせいで自身の赤い糸は存在しない。 誰とも結ばれることはないと本気の恋を避け、依頼人だった原に告白されても拒むしかなかった。 けれど、何度断っても一途に好意を寄せてくれる原に惹かれ、彼との愛を信じたいと思い、付き合う決意を固める。けれど、どうしても原の赤い糸の存在が気になってしまい……。(電子書籍サイトの作品内容より)


[感想]

あとどれくらいこうしていられるのか

「叶わぬ恋の結び方」の続編。

恋人となり、むず痒くなるぐらい甘〜い原との同棲生活も1年続き、もしかしたらこのままずっと一緒にいられるのかな...と思い始めた矢先に、原の小指に「運命の赤い糸」が繋がるを見てしまう薫...。それまでの甘々いちゃいちゃっぷりが幸せと可愛さあふれるものだっただけに、薫の動揺が手に取るようにわかってつらい。

もし誰かと糸が繋がったら切って欲しいと望んでいる原の気持ちをわかっていながら、繋がったことを伝えず、糸を切るつもりがない薫の”頑なな臆病さ”は一見すると1巻から変わっていないように見える。でも実は、原との甘い生活で原への想いがより深くなって、原の幸せを願ってるからこその気持ちだとわかるので、読んでて薫の自己完結しているような気持ちを責める気にはなれない。

少しでも長く一緒にいられたらと願う薫の気持ちも、運命の相手との糸を切らなくても自分のことを好きなままでいて欲しいと告白するシーンも、せつなさの極みだった...。

運命の相手と結ばれることだけが幸せじゃない

好きになった相手にいつも「運命の赤い糸」で繋がった相手が現れるのを見てきた薫に、真っ直ぐな想いをぶつけて恋人になった原の一途な想いは、今回もブレがない。
「二人で一緒に幸せになろう」という気持ちを伝えるために、赤い糸が巻きつく部分を持っていない薫に赤いピンキーリングを用意するなんて...泣ける。ルックスも心もまさにイケメン。

天然でポヤポヤしてる面も、薫と一緒にいるとデレまくりなのも、エッチではちょいS気味になるところも、愛情を出し惜しみしないところも原さんの魅力だけど、最大の魅力はやっぱり薫と一緒に幸せになることを望む一途な想いがブレないところだなぁ。


”この手は絶対に離さない”という強い愛情で結ばれ、赤いピンキーリングで繋がった二人に幸多くあれ。


では、また!
浅葱 拝