きょう、このBL本、読んだ。

商業BL本(漫画・小説)の感想。ネタバレあり。某文芸編集部編集者/小説編集者歴7年目(+校正者歴3年)。

社史編纂室で恋をする / 栗城 偲(イラスト:みずかねりょう)

[あらすじ]社内である濡れ衣を着せられた志月は、「流刑地」と呼ばれる社史編纂室に異動させられる。新しい上司は、なんと数日前に新宿二丁目で一夜を共に過ごした男・稲葉。最初の出会いをなかったことにしつつ、志月は編纂室の仕事に慣れていく。ところが稲葉を二丁目で再び見かけた時、彼に惹かれている自分に気づいてしまう。志月は恋心を秘めながらも、男と二人でいたのを見たと稲葉に告げると、不意に抱き寄せられ……? イケメン二面性攻×体育会系ポジティブ受、オフィス・ラブ!!(電子書籍サイトの作品内容より)
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[感想]

王道+α

一夜限りの相手が異動先の部署の上司だった?! ...という王道ハプニングから始まるBLだけど、事の発端となった志月の左遷に絡んで、セクハラの目撃、横領の濡れ衣、スパイ疑惑など謎が二人の関係に絡みながら展開されていくので、マンネリ感は感じさせない✨
社史編纂室という職業も珍しくて興味深かった ! んだけど、謎解き+焦れラブがメインの筋になっているので、お仕事BLのお仕事部分の描写は少し物足りないかな?
社史編纂室のメンツも、仕事面&事件面のどちらでも空気サブという感じ。志月との絡みがある加藤は、もっとメイン筋に絡んでくるのかと思ってたんだけど......全然そういうことはなかったのでちょっと拍子抜けしたかな。...でも加藤の存在は、志月の精神的バランスをとる感じで”つかず離れずの同僚”という間柄がちょうど良いバランスだったようにも思う。こういうのってどこを纏めてどこまで広げるのか、匙加減が難しいんだろうなぁ。

走ってきます!

志月がポジティブ過ぎずネガティブ過ぎず...なのがとても良かった。あとがきに書かれていたけれど、100%陽キャラ、100%脳筋キャラだったら、読んでて感情に付き合わされるのしんどかったと思うし、私的にはうざキャラ認定入って嫌いになってたと思うw
陰と陽のバランスが丁度いい志月の塚森常務に対する尊敬全開の目線も、悩むと走って気持ちを落ち着けようとするところも、嫌味がない真っ直ぐさでむしろ好感が持てる。
ただ「”察しがいい”とか絶対嘘だろ...」って稲葉のつぶやきには完全同意w 事件が片づいて稲葉といよいよって時すら、清々しく「走ってきます!」って...あれ面白かったw

行きずりの一夜のあと、編纂室の室長補佐という立場で現れた稲葉はルックスも中身もイケメンで、ボサッとした格好をしていても隠しきれない魅力が満ち満ちてるんだけど、そこに少し謎も抱えてるのが更にいい味出してる。大局的見地に立って落ち着き払ってクールに物事を見ているのに、志月のことが気になり過ぎて意外とわかりやすく嫉妬してたり焦ったり、人間くさい魅力もあって、そこがまたいいんだよね✨ビシッと決めた隙のないスーツ姿も、ボサッとだらしない仕事疲れした格好の時も、大人の色気があります。


みずかねりょうさんのイラストもキャラクターの魅力を存分に引き出していて、イラストありの電子化で嬉しかった!
本作で登場した塚森常務のスピンオフも小説ディアプラスで掲載されていたみたいで、書籍化が楽しみです✨


では、また!
浅葱 拝

内親王の降嫁 / 和泉桂(イラスト:葛西リカコ)

[あらすじ]時は五条帝の御代。若くして大納言の役職につく藤原光則は、最愛の妻の忘れ形見である息子を病で亡くし、失意の淵にいた。光則はある日の陣定で、都で話題の夜盗「十六夜」を捕らえる検非違使別当の役職を命じられる。一度は十六夜として盗みに入った美しい少年を捕まえるが、彼は実は帝の妹として育てられた弟・楓の宮だった。そのことを知らない帝に彼と婚姻を結ばされた光則は、結婚しても楓の無愛想な態度に憤慨し強姦してしまうが、楓が十六夜として捕まえた少年であることを知ってしまう。光則は楓の人生に自分の弟・狭霧を重ね、楓の本心を知るために彼の心を溶かそうと行動を起こすが――。電子限定書き下ろしSSを収録!!【イラスト付き】(電子書籍サイトの作品内容より)
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[感想]
平安時代の宮廷を舞台に、貴族の婚礼にまつわる恋愛模様を描いていて、1作目「姫君の輿入れ」と2作目「貴公子の求婚」は、2008年に大洋図書さん(当時のSHYノベルス)から出版されています。
まさかシリーズ第三弾がこれだけ間をあけてレーベル移動して発刊されるとは...❗️驚きです。
本作の主人公(攻め)は 「姫君の輿入れ」の受けの兄で、弟を含め前の2作品の登場人物が出てきますが、本作内の描写だけでそれぞれの人物像はそれなりにわかるので、違和感なく物語を楽しめます。

二人の関係性

「大納言の役職につく藤原光則×帝の妹として育てられた腹違いの弟・楓の宮」という二人の関係が、「義賊・十六夜を捕らえるための検非違使別当×義賊・十六夜」という側面を持ち、さらには帝から妹の楓の宮を娶れと申し渡されて「夫×妻」という関係にもなって、関係性がどんどん複雑に積まれていくのが面白い。
しかも義賊・十六夜絡みの騒動で偶然知り合うことになった二人が、相手に対する反感を最高潮に募らせたまま一触即発の雰囲気で、正式に顔合わせをすることもなく婚礼の日を迎えるという......平安時代の貴族の婚儀という慣習に則って物語が進んでいくので、当人達の気持ちがお互いに向かっていないのに形式的にあっという間に結婚してしまい、この序盤の険悪さから、一体この先どんな風に二人は歩み寄っていくのか?という始まりに足が掛かったところで、さらに追い討ちをかけるように、怒りのあまり光則が......という王道のBL展開があり、序盤からなかなかの読み応え✨

それぞれの抱えるもの

男でありながら帝の腹違いの妹として育ち、従四位下の身分で荒れた荘園の邸宅に数人の侍女と暮らしていた楓の宮(楓)という難儀な人物の相手となるのが、楓と同じように男でありながら女として育っていた狭霧の兄の光則というキャラクターを持ってきたのが本当にナイス。
皮肉な運命とも言えるけれど、狭霧の境遇を見てきたからこそ、楓の心の内にある”男子としての本当の自分”という楓の気持ちを慮ることができるんだよね。もちろん光則が弟の狭霧に対する後悔の念をここで解消する意味合いもあるんだけど......そこがまた楓が拗らせる伏線になっていくという...うまいです。

楓は帝の兄に対する憤懣もあり、義賊として庶民を助けているつもりなんだけれど、結局のところ無鉄砲な気位の高い世間知らずな子という感じで、ツンデレというより天邪鬼で浅はかで...という感じで、めんどくささ半端ないと思ってたんだけど、後半になるにつれそういう子供っぽさが魅力に思えてくる。不思議。



物語の軸となる義賊・十六夜の捕物部分の解決方法は強引だったけれど、十六夜エピに絡んだ伏線が別の事件へと繋がって、その危機を乗り越えて光則に対する楓の気持ちがはっきりと恋慕に結びついたのも束の間、女として育てられた光則の狭霧の存在を知った楓が、光則への気持ちを拗らせて...と、最後の最後まで畳み掛ける展開で、読み応えバッチリな序盤から最後まで失速することなく、かといって息切れするようなせかせかした印象はなくて、中盤は二人が少しずつ距離を縮めていく部分を緩やかに描いていて、上手く緩急をコントロールした1冊でした。

平安時代を舞台にしているので、馴染みのない言葉遣いや独特の慣習、装束、登場人物の肩書き、位などの表現に少し戸惑うけれど、平安絵巻的な雅な世界観もとても素敵です。
葛西リカコさんのイラストも麗しかった✨


ちなみにAmazonKindleで1作目「姫君の輿入れ」2作目「貴公子の求婚」に関連した同人誌で、2011~2013年に発表した番外編を1冊にまとめた「ささめごと: 婚礼奇譚集 再録集 」というのも販売されています(Unlimited対象)。

私はKindle Unlimited は解約してしまったので、 Unlimited で読んでた本、全部読めなくなっちゃったんですよね......。
でも過去の同人誌を電子化してくださる作家さんのご好意は本当にありがたいと思っているので、アンリミ解約後に購入してます✨


では、また!
浅葱 拝

11月に購入したBL小説(全17冊)+ ニアBL小説(2冊)

こんにちは、浅葱です。

11月に購入したBL小説は17冊(新刊8冊/既刊9冊)でした。
11月に購入した一般小説(全9冊)の中にもニアBLでくくれる作品が2冊あったのでそちらもご紹介します。

BL小説の方は、11月の新刊の他に、プラチナ文庫のOffクーポンがあったので、昔、紙で持っていたけれど今はもう手元になくて、もう一度読みたいと思った小説を電子で購入したり、他にも期間限定割の恩恵で既刊小説を購入しています✨

10月に購入&読了→感想作成中の小説や、それ以前のBL積読本の感想作成待ちもたくさんあって、ブログの下書きフォルダが大渋滞中ですが、ちまちま更新していきたいです(* > <)⁾⁾


では、まずはBL小説17冊からどうぞー❗️
(順不同/敬称略/あらすじは電子書籍サイトの作品内容から)
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うさ耳オメガは旦那様に尽くしたい / 小中大豆(イラスト:鈴倉温)

[あらすじ]隠れオメガの獣人の卯壬は、路頭に迷っていたところをセレブ相手の鳥獣商の蘭に拾われ、住み込みで働くことに。あるとき卯壬は発情抑制剤を切らしてヒートになるが、蘭は「やはりΩだったか」と優しく抱いてくれて?
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[感想] 積読中📚


ニャンダフルライフ / 越水いち(イラスト:ミドリノエバ

[あらすじ]猫を助け交通事故に遭った実弥央は、気づくと猫になっていた。雨に降られ寒さに震える実弥央を保護したのは、アパートの隣に住むイケメン警察官で片想い相手の龍崎だった。猫になったのは天邪鬼すぎる実弥央の願いを猫神様が叶えたからで、7日以内に実弥央だと気づいた上で名前を呼ばれれば人間に戻るという。実弥央は添い寝したりキスしたり、龍崎に甘やかされまくりの猫ライフをしばらく楽しむことにしたが……。ミドリノエバ先生の口絵・挿絵も収録。
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[感想] 📌こちらに感想記事あります。
blnote.hatenablog.jp


白銀のオオカミと森のお医者さん / 中原一也(イラスト:奈良千春

[あらすじ][あらすじ]人間社会に疲れた獣医の岡村は、先祖が代々受け継いできた山で動物のための診療所を開く。しかしそこは獣人が住む山だった。普段は可愛い動物の姿をしているが、ひとたび縄張り争いとなると血気盛んな獣人オヤジたち。中でも白銀のオオカミの牙狼は、雄のフェロモン垂れ流しで「俺と子作りしよう」と岡村を口説いてくるが…!?  狼の彼に舌で愛され、人の姿で激しく奥まで貫かれ――。白銀の狼×獣医のドキドキ動物パラダイス☆ 紙書籍発売時、フェア用に書き下ろされたSSを収録した特別版!
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[感想] 📌こちらに感想記事あります。
blnote.hatenablog.jp


白い森 ~白虎と雪豹のもふもふ大陸の旅~ / 市川慈雨(イラスト:一夜人見)

[あらすじ]獣人の世界に異世界転生したチトセは気のいい白虎・タイラーと出会い、なぜこの世界に来たのか探す旅に出る。自身が伝説の雪豹の生き残りであると知ったチトセ。タイラーはそんな自分を優しく受け止めてくれて…!?
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[感想] 読了 - 感想作成中📝


秘書と野獣 / 水壬楓子(イラスト:石田恵美)

[あらすじ]大手総合商社の社長秘書・吉鹿は、上司である社長の右城に密かに想いを寄せていた。男の自分が恋愛対象になれるはずもなく、告白すら諦めていた吉鹿。しかしある夜、右城に同性の恋人がいることを知ってしまう。ヤケになった吉鹿はバーで出会った右城と同年代の男・蒼衣に抱かれた。その関係は一夜限りのはずだったが、蒼衣は翌日から執拗にアプローチしてきて――!?
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[感想] 積読中📚


街の赤ずきんと迷える狼 / 中原一也(イラスト:みずかねりょう)

[あらすじ]氾濫する薬物と組織犯罪から社会秩序を守るため、酒と煙草の違法入手が禁じられた未来――赤いマントを纏い、夜の街を華麗に徘徊する謎の運び屋「赤ずきん」。標的に追うのは警視庁の特殊部隊≪ウルフ≫の捜査官・向井(むかい)だ。人目を引いては警察を翻弄してくる男を、次こそは捕まえる!! 男の身のこなしに只者じゃない風格を感じていたある日、男がなんと元ウルフの創設メンバーだったと判明し!? ※口絵・イラスト収録あり。書き下ろし番外編「二人しか知らない」収録。
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[感想] 積読中📚


社史編纂室で恋をする / 栗城 偲(イラスト:

[あらすじ]社内である濡れ衣を着せられた志月は、「流刑地」と呼ばれる社史編纂室に異動させられる。新しい上司は、なんと数日前に新宿二丁目で一夜を共に過ごした男・稲葉。最初の出会いをなかったことにしつつ、志月は編纂室の仕事に慣れていく。ところが稲葉を二丁目で再び見かけた時、彼に惹かれている自分に気づいてしまう。志月は恋心を秘めながらも、男と二人でいたのを見たと稲葉に告げると、不意に抱き寄せられ……? イケメン二面性攻×体育会系ポジティブ受、オフィス・ラブ!!
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[感想] 読了 - 感想作成中📝


ロイヤル・シークレット / ライラ・ペース(訳:一瀬麻利/イラスト:yoco)

[あらすじ]ニュース配信社の記者、ベンジャミンは、英国の次期国王ジェームス皇太子を取材するためケニアにやってきた。滞在先のホテルの中庭で出会ったのは、あろうことかジェームスその人だった。雨が上がるまでの時間つぶしに、ベンの部屋のテラスでチェスを始めた二人は、駒を取られるたびに一つ秘密を打ち明ける取り決めをする。それは軽いゲームのはずだった。しかしいつのまにか二人の間に不思議な感覚が通い始め――。世界で一番秘密の恋が、いま始まる。
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[感想] 積読中📚
海外BL小説(の翻訳小説)はあまり興味がなくてほとんど読んだことがないんですが、こちらは表紙に惹かれて衝動の表紙買いw あらすじの感じからストーリーは割と好みかもしれない......と思うのでちょっと読むの楽しみ。


薔薇色じゃない / 凪良ゆう(イラスト:奈良千春

[あらすじ]出会ってすぐに恋に落ちた水野と阿久津。大学卒業後、同棲を始めるが、会社員となった阿久津とフードスタイリスト修行中の水野は少しずつすれ違い、水野がふと漏らした一言が決定打となり別れる。一年後、再会したふたりは友人としての関係を築くのだが?
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[感想] 📌こちらに感想記事あります。
blnote.hatenablog.jp


ラプンツェル王子の通い妻 / 小中大豆(イラスト:麻々原絵里依

[あらすじ]20歳の誕生日にフラれた昭良がゲイバーで出会った年上の克己。酔いつぶれた勢いでHしてなし崩しに始まった関係から3年。実は売れっ子画家だった克己のアーティストらしい気まぐれさに振り回されながら、昭良の生来の面倒見のよさで克己のご飯を作ったり身の回りの世話をしつつうまくやってきた。――ってよく考えたらこれって×恋人○オカンじゃないの!?電子限定書き下ろしSSを収録!!【イラスト付き】
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[感想] 読了 - 感想作成中📝
小中大豆さん好きなので作家買いをしていてほぼほぼ持ってると思ってたんですが、この前、出版リストと購入リストを突き合わせたら思っていたよりも買いこぼしがあり...。明らかにまったく好みじゃないから買わなかったんだろうなとわかる作品以外は、これから揃えていく所存です!


獣使いは守護獣と愛を誓う / 月東湊(イラスト:榊空也

[あらすじ]生まれてすぐに親に捨てられた琉央は雑技団に拾われ獣使いとなった。珍獣好きな王妃に招かれ宮中に上がった琉央は、末の皇子が飼っている美しく雄々しい獣の世話を任される。名前のなかった獣に綺羅と名づけ可愛がり、年下の皇子とも少しずつ心を通わせてゆく琉央だが、綺羅がこの国の守護獣であり、その悲しい運命と皇子との関係を知ってしまい?電子限定書き下ろしSSを収録!!【イラスト付き】
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[感想] 読了 - 感想作成中📝


スカーレット・ナイン / 水壬楓子(イラスト:亜樹良のりかず)

[あらすじ]独立四百年を翌年に控えるスペンサー王国には、スカーレットと呼ばれる王室護衛官組織が存在する。王族からの信頼も篤く、国民からの人気も高い護衛官たちの中でも、トップに立つ九名は【スカーレット・ナイン】と呼ばれ、ナインに選ばれた者は、騎士として貴族の位を与えられてきた。そんなナインの補佐官を務める、愛想はないが仕事は明確にこなすクールな護衛官・緋流は、ある日突然、軍隊仕込みの新入り射撃の名手・キースとバディを組まされることになる。砕けた雰囲気のキースに初対面で口説かれ、苛立ちを覚える緋流。身体の関係込みで自分のものにしたいと自信満々に迫ってくるキースに、ペースを乱されてばかりの緋流だったが――?【イラスト付き】
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[感想] 積読中📚
正統派騎士団BLを探し求めて放浪してます......。騎士×騎士でも騎士×王子でも王子×騎士でも騎士×王でも王×騎士でも、カップリングは問わないんですが、なんちゃってのゆるやわ騎士BLよりは、もう少し硬くて重い中世ヨーロッパ歴史小説風味の世界観の騎士達のBLが猛烈に読みたい! あ、もちろんゆるやわ騎士ものも好きだし、異世界ものの騎士×魔道士とかも性癖なんだけど、そちらは割と見つけられるので、ガチな騎士団のBLでオススメあったらほんと教えてください。平伏。

堕つればもろとも / 宮緒葵(イラスト:亜樹良のりかず)

[あらすじ]神の娘の証である黄金の髪を持つ珠玲は、男でありながら天姫として崇められていた。だが、祖国を救い成り上がった将軍・朔に嫁ぐことになる。すげなくしても一途な犬のように縋る眼差しで服従を誓うくせに、褥では餓えた獣のように珠玲を貪る朔。憎しみを募らせた珠玲は、敵国の間諜に騙され、毒を盛ってしまう。死に瀕してもなお珠玲に執着する朔は、心中を強いてきて……。
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[感想] 積読中📚
こちらの作品、初版は2011年で宮緒葵さんのデビュー作です。
以前、プラチナ文庫休刊の記事を書いたときに、購入リストと当時の自分の感想ノートを読んで、「あぁーそうだよ、これもう一回読みたいなぁー」と思っていたんですがもう手元になくて、今回電子で購入しました✨
デビュー作から執着わんこ攻めの宮緒さんらしさ大炸裂。戦国時代のSFファンタジーという題材で執着わんこ攻め。当時から既に自分のスタイルを炸裂させてたんですね、素晴らしいw✨ 久しぶりに読み返すのが楽しみ。

地角の衆生 / 栗城偲(イラスト:ミナヅキアキラ)

[あらすじ]夜ごと仲間を探して啼いていた鵺は、人間に足を射られてしまう。ところがその人間は、痛みと怯えで泣く鵺を連れ帰り、手当てをしてくれた。その人間、寛慶は鵺を厭わなかった。傍に置いて、頭を撫でたりしてくれる。ずっと欲しかった温もりが嬉しくて、鵺は彼の傍にいたいと思い始める。そして、寛慶もまた癒えない寂しさを抱いていると知った鵺は、思わず彼を抱きしめて……。
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[感想] 積読中📚
これもプラチナ文庫休刊の振り返りの感想ノートを読んでもう一度読みたくなった作品。


匣男 / 剛しいら(イラスト:吉村正)

[あらすじ]狭いところに入りたい──。旧財閥の跡取りで船舶会社副社長の風宮にはおかしな性癖がある。秘書となった幼なじみの祐一朗は、その唯一の理解者で支配者であった。家族に萎縮し、仕事の重圧で心が壊れかけていた風宮は、デスクの下で祐一朗の足下に蹲り安寧を得る。薄闇に包まれた狭い空間は、安らぎと同時に恍惚感をもたらした。まるで祐一朗の執着に閉じ込められたようで…。
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[感想] 積読中📚
これもプラチナ文庫休刊の振り返りの感想ノートを読んでもう一度読みたくなった作品。


吉原艶情 / 沙野風結子(イラスト:北上れん)

[あらすじ]特高警察の桐守は、酔い潰れたところを異邦人の男花魁・翡翠に介抱され、夢うつつのまま快楽を与えられた。国粋主義の桐守は屈辱に震えたが、吉原での調査に彼の手を借りるうち、その心と身体の温かさにどうしようもなく惹かれていく。しかし異邦人は排除の対象。特高に目を付けられた翡翠は、捕らわれてしまう。庇った桐守も捕らわれ、死と隣り合わせの牢中でふたりは──。
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[感想] 積読中📚
これもプラチナ文庫休刊の振り返りの感想ノートを読んでもう一度読みたくなった作品。


つる草の封淫 / 沙野風結子(イラスト:朝南かつみ)

[あらすじ]権力者の影武者となる「珠」として造られた葛は、本体の月室藩主の子息・藤爾に代わり、幼い頃より慕う上忍の珀とともに緋垣藩に人質として赴く。藩主の嫡男である緋垣彬匡は、周囲の者に禍を撒くと噂され、恐れられていた。諜報活動を行う葛は、体液から情報を読み取る特殊能力がうまく使えず、焦りを覚える一方、不幸をもたらす己を呪う彬匡の孤独に触れ、惹かれ始めるが……。
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[感想] 積読中📚
これもプラチナ文庫休刊の振り返りの感想ノートを読んでもう一度読みたくなった作品。
こちら、三部作の予定で2012年に第二部が発売予定だったっぽいんですが、出てないんですよね...。プラチナ文庫は休刊になったし、BL小説で時代劇の作風は今の流行からすると需要が厳しそうだし......この先レーベル変えて発売っていうのは余り期待できないのかなぁ。朝南かつみさんのイラストも雰囲気ぴったりでとても素敵だったので、三部作を通してご担当して頂きたかった...。


+ニアBL小説 2冊(木原音瀬さんの一般小説)

「捜し物屋まやま」は一般ミステリー、「コゴロシムラ」はホラーミステリーのカテゴリーですが、木原音瀬さん曰く「捜し物屋まやまはニアBL、コゴロシムラはホラー味は薄い、男ばかりがでてきてBにL風味……いつもの感じです。」とのこと。
(順不同/敬称略/あらすじは電子書籍サイトの作品内容から)
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捜し物屋まやま / 木原音瀬(イラスト:穂積)

[あらすじ]天涯孤独で無職の三井は、放火に遭い家が全焼。途方に暮れていたところ、“捜し物屋”を営む間山和樹に助けられる。和樹は喋れないイケメンの弟・白雄と一緒に、客の失くし物を「占い」で捜す仕事をしているらしい。彼らの知り合いの弁護士・徳広の力も借りて生活を立て直す三井だったが、偶然、放火犯らしき男を見かけ……。ちょっと不思議で怖くて愉快。四人(と一匹)のドタバタ事件簿!
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[感想] 積読中📚

コゴロシムラ / 木原音瀬(イラスト:中村明日美子

[あらすじ]
かつて産婆が赤子を何人も殺した村で、尋常ならざる夜が始まったーー。祟りと因縁が渦巻く、新境地ホラーミステリー
カメラマンの仁科は、雑誌の取材のため、ライターの原田と山深い神社を訪れた。が、雨が降りそぼる夕暮れ、携帯が繋がらない山道で迷い、おまけに原田は足を捻挫してしまう。ようやく古い民家に辿り着き、老婆の好意で泊めてもらうことになったが……。仁科は、コゴロシムラと呼ばれるその村で、出口のない恐怖に晒される。
人間同士の切なさもどかしさを描いて並ぶ者なし、の名手がホラーミステリーに挑む!
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[感想] 積読中📚



では、また!
浅葱 拝

狼への嫁入り〜異種婚姻譚~ / 犬居葉菜 

[あらすじ]異種間カップルの人外結婚BL。異種な上に“いけ好かない”同士の婚約。狼族には“嫁体化”(かたいか)というしきたりがあった――。兎族の少年・楓は、村のために 狼族の名家に嫁入りすることになった。人身御供のような結婚に腹を立てながらも持ち前の負けん気で前向きに婚約者と対面した楓だったが、跡取り息子の練は、なぜか冷たくつっけんどん。しかも着いて早々、「異種間で番になるためにお前の体質を変える」と楓は“嫁体化薬”という薬を飲まされ、指で後孔を抉られた。それが、正式な婚儀まで1ヶ月間施される“嫁体化”の始まりだった――。冷たい跡取り息子狼族×隠れ強気な村育ち兎族。【紙&電子共通応援書店ペーパー収録】(電子書籍サイトの作品内容より)
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[感想]

楓と練

食糧難の貧しい兎族の村に、狼族の名家から2年間の支援と引き換えに嫁を乞われ、人身御供のような形で狼族の村に嫁入りすることになった楓がとても魅力的。
自分を不憫と思う気持ちをなんとか抑え込んで、狼族の村で幸せになろうと奮起する前向きさというか、健全な魂の推進力みたいなものを感じられるのがすごくいい。

まずは自分が努力するところから初めて、謙虚な気持ちを忘れずに求めるばかりじゃいけない、と自分を叱咤して練に歩み寄ろうとするところとか、玄依家の一員として商いについて学ぶ姿勢とか、健気というよりも自分に対しても周囲に対しても真面目に向き合う姿がとても好感。
練に「は?」とキレてから感情の躍動感が弾けるように出てきて、そこからは楓のことが一気に好きになる。


練は最初の百代結の儀式の態度とか、その夜の嫁体化初日の言動から、不本意な結婚に対する苛立ちを楓に当てこすっているのか?と思ったけれど、悪意があるような感じはなくて、少しずつ楓に感情を見せ始めたので楓を嫌っていないことはわかったけれど、何を秘めているんだろうかと正直、謎だった。
実は素っ気ない態度も、無感情なのも、”先祖返り”を抑制する為に子供の頃から感情を無くす薬を飲んでいて、感情が育っていなかったからだったんだよね。
それがわかるのが物語の終幕あたりになるんだけど、そんな練の事情を知らないまま接していた楓が、意図せず練の感情を引き出していった、という視点でもう一度読むと、この二人の関係性の変化と、それに伴った感情の動きがとても尊い


ただ練の”先祖返り”からの流れは、ドラマチックではあるけれど急転直下というか一気呵成というか...若干、駆け足だった印象。
収容所のエピは二人の心が通い合った良いシーンだったと思うけれど、私的には、村長と血の繋がりがないからから人身御供にされたと思って心の中で落ち込んだり拗ねたりしていた楓が、練にそれは違うんじゃないのって理由を聞かされ頭ポンとされて、「足が軽いな」ってなる一連のシーンが、全編を通して一番心に響いた。楓の心の澱みが澄んで心も体も軽くなったことを、柔らかい光が溶けるようなトーン処理で表現していたのも素敵。

練の一族の人たちについて思うこと

楓が練の家に着いた瞬間から練の家族が楓のことを心から歓迎してくれて、暖かく迎え入れてくれて、楓のことを大切に思っているのがわかる接し方を見て、玄依家の人達は本当にいい人達なんだろうと思う。
でも楓に、狼族に稀に生まれる”先祖返り”のことや、嫁体化のことを何も知らせずにいたのは、どういうことなの。
もしかしたら”先祖返り”のことを狼族の恥部のように思っていて知られたくなかったのかもしれないけれど、事が起こった後に、原因となった裕士さんから説明されて初めて知るっていうのは...あれが切迫した状況だったことと、楓だったから納得してくれたかもしれないけれど、一族に迎え入れる立場の玄依家の人達から楓に話がなかったことに、ちょっとばかりの不信感を持ってしまう。
そこら辺は狼種の気質的なものなのかな。あんなにいい人達なのに、種族的なヒエラルキーの意識があるのかなぁ。よくよく考えたら食糧難の援助と代替で嫁を要求してくるんだもんな...。
いや、ほんと、いい人達っていうのはどのコマ見てても伝わってくるから本当にいい人達だと思う、でもちょっとモヤったのも事実。


江戸時代っぽい街並みの世界観とか、躍動感のあるストーリー運びとか、キャラクターの造形とか、画力(絵)とか、色んな魅力の”いい❗️”がつまってる1冊で、すごく好きです。
ストーリーの組み立てとか、アニメのような流動性を持って物語を描いているところとか、漫画描くのめちゃくちゃ熟練してる方なのかな?と思ってたけど、これがデビューコミックスですか......すごい。
ファンになりました✨


では、また!
浅葱 拝

11月に購入したBL漫画(全10冊)

こんにちは、浅葱です。

12月です。
マイベスト@年間 top 20 的なのをBL漫画とBL小説でやりたいんだけど、12月中にはきっと無理。やるとしたら年明けて2月3月4月...とか年間マイベストには旬を逃しまくりの時期になりそうw 
記事には鮮度というものがって呆れられる可能性大ですか。そうですか。
毎年出版される某誌のランキングとはいつもかなり乖離があるからブログに残したいんだけどなぁマイベスト。


11月に購入したBL漫画は10冊でした。
いつもより少ないのにまったく読めてません.....
なんか買うのが目的になってて買って満足している人みたいですごくだわ自分が。

10月末からBL漫画の新刊発売予定の情報収集をあまりできなかったので、
きっと色々買いこぼししてる_:(´ཀ`」∠):_グハァッ......


というわけで購入記録です。
(順不同/敬称略/あらすじは電子書籍サイトの作品内容から)
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兎の森 1 / 苑生

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[あらすじ]弓永環は、人懐こくてよく笑う。そんな環の笑う顔が好きだった志井洵太。二人は1歳差の幼なじみ。環が先に入学しても卒業していっても一緒に遊んだ。小学校、中学校、高校──いつからか、それが少し変わっていった。家の前で泣く環を見た時から、志井の何かが違っていった。この気持ちは、清くない。正しくない。美しくない。禁則事項がふえていく中、高校生になった二人の関係は急速に変化していき…?

この先は二人きりで / まちお 郁

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[あらすじ]吉川春輝、高校二年。男が恋愛対象で、親友の渡辺竜介に密かに恋をしている。日に日に増す想いを抑え、親友として竜介の隣にいることを選んだ春輝だったが、ある日竜介に想いを寄せる女子が現れた。「竜介に彼女ができたら今まで通り友達やっていけんのか?」焦った春輝は思わず竜介にキスをし、隠し続けるつもりだった想いを伝えてしまう。もう友達ですらいられないと落ち込むが、なぜか竜介はあっさり告白をOK。絶対にないと思っていたお付き合いが始まり――!?【描き下ろしあり】

それは、甘くて苦い。 / こん炉

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[あらすじ]カフェを営む傍ら、姉夫婦の娘・スウの面倒を見る毎日。誰にも言えないある想いを胸に秘めつつも穏やかな時間を過ごしていた芳春。そんな芳春の店の裏で傷だらけで倒れていた見た目の派手な青年。口を開けばデリカシーの欠片もなく、ズケズケと心に踏み込んでくるカズム。早々に追い出そうとするも、「好きだ」のなんだと距離を詰められ居つかれてしまう。野良猫のような彼を助けてしまったことで、芳春の日常は大きく変化していく。強面カフェ店長×心も体も直球な野良猫ビッチ。正反対なふたりが出会って、ほんとうの恋を知る。★単行本カバー下画像収録★【電子限定で描き下ろしの3ページ漫画が収録されています。】

兄ちゃんの話 / 池玲文

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[あらすじ]史嵩にとって、5歳年上でなんでもできる嵩大は自慢の兄だ。仕事で忙しい母に代わって家事をこなし、家族の面倒を見ながらも成績優秀で女子にモテる──そんな兄が、中学に上がり親友のなな君を家に連れてくるようになった。優しいなな君とすぐ友達になった史嵩だけど、ある日、兄となな君がこっそりキスをしているのを見てしまい!?
兄の親友×兄の恋を弟の視点から見つめた、池玲文が描く切なくも温かなラブストーリー!

バイ・マイ・サイド / ナツメカズキ

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[あらすじ]料理人の左京と花屋勤めの右山は、高校からのくされ縁で、今では同じアパートの隣人同士。クールだが面倒見の良い右山に、左京は何かと世話を焼いてもらう日々だったが、ある昼下がり、右山が自分の名を呼びながら自慰しているところを目撃してしまい……。「…俺たち、ダチだよな…?」友情と恋のはざまで揺れ動く、不器用なふたりの16年が、全編改稿・大量描き下ろしで待望のコミックス化!

隣人に愛の手を / 中田アキラ

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[あらすじ]仕事が生きがいの刑事の藤嶋は、ある夜、引っ越してきたばかりの隣人・五条満と知り合う。ゴミの捨て方もわからないどこか浮世離れした五条を放っておけず、なんだかんだと面倒を見ることに。ふわふわした雰囲気で自分を頼ってくる五条を可愛く思っていた藤嶋だが、その矢先、ブラコンをこじらせた弟が現れ、さらに、驚くべき彼らの素性を知らされてしまい――?電子限定おまけ付き!!

素晴らしい季節に優しい君と / 湯煎温子

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[あらすじ]高校で念願のオタクライフを謳歌するはずだった榎木純平くん。電子技術部存続の危機に駆け回るうち、学校イチのイケメン坊主・白滝涼介くんと出会う。恵まれた体格に精悍に整った容貌、同じ一年生らしからぬクールな佇まい――自分とはまるで違う白滝くんに憧れ、やがて、もっと笑ってほしいと願うようになって……? じんわりキラキラときめきが止まらないユースフル・デイズ、描き下ろし後日談「初めての」も収録して待望のコミックス化!!電子限定おまけ付き!!

ロッカバイディア / 暮田マキネ

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[あらすじ]「俺にできることは全部叶えてやりたいから」
大病院の次男坊で、奔放に日々を過ごす八尋(やひろ)。そんな八尋にとって大切なのは、幼馴染みの累だけ――。養子という立場に引け目を感じている累(るい)に、自分にだけは甘えていいと教え込んできた。そうして幼い日を過ごした二人はやがて、身体を重ね始める。曖昧なバランスで保たれていた関係だけれど、義母の妊娠を機に突然、累が「終わり」を口にして!?愛に焦がれる少年たちの、いびつで幼い恋!!

狼への嫁入り~異種婚姻譚~ / 犬居葉菜

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[あらすじ]異種間カップルの人外結婚BL。異種な上に“いけ好かない”同士の婚約。狼族には“嫁体化”(かたいか)というしきたりがあった――。兎族の少年・楓は、村のために 狼族の名家に嫁入りすることになった。人身御供のような結婚に腹を立てながらも持ち前の負けん気で前向きに婚約者と対面した楓だったが、跡取り息子の練は、なぜか冷たくつっけんどん。しかも着いて早々、「異種間で番になるためにお前の体質を変える」と楓は“嫁体化薬”という薬を飲まされ、指で後孔を抉られた。それが、正式な婚儀まで1ヶ月間施される“嫁体化”の始まりだった――。冷たい跡取り息子狼族×隠れ強気な村育ち兎族。【紙&電子共通応援書店ペーパー収録】

ビターライクライト / 那梧なゆた

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[あらすじ]明るくお人よしな森崎とクールで寡黙な田口は、高校時代からの友人であり恋人。大学生になってからも、二人はすれ違いや誤解を乗り越えつつ、幸せな日々を過ごしていた。大学生活も半ばを過ぎた頃、友人である吉村・志摩が同棲をすることを知り、森崎は田口との「これから」のことを考え始める……。『ライクアシュガー』シリーズに登場した大人気カップルスピンオフ☆高校時代のたぐもりエッチや、よししまお風呂エッチも収録!


では、また!
浅葱 拝

薔薇色じゃない / 凪良ゆう(イラスト:奈良千春)

[あらすじ]出会ってすぐに恋に落ちた水野と阿久津。大学卒業後、同棲を始めるが、会社員となった阿久津とフードスタイリスト修行中の水野は少しずつすれ違い、水野がふと漏らした一言が決定打となり別れる。一年後、再会したふたりは友人としての関係を築くのだが? (電子書籍サイトの作品内容より)
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[感想]

人生は薔薇色じゃない。

仕事も恋愛も友人関係も家族関係も、人生の何事にも理想や望みはあるけれど、すべてが自分の思い描いた通りになるわけもなく、むしろ誰しもが妥協しながら理想と折り合いをつけて生きていて、それが苦しくもあり避けられない現実でもあり。......人生の歩みを通してそういう現実とどんな風に向き合い、受け入れていくのかーーー。
というのを、阿久津と水野というカップルの出逢いと別れからの15年を通して描いた1作。

凪良ゆうさんの過去作「365+1」でも、主人公が仕事と恋愛+理想と現実を前に揺れながら、人生を見定めていく過程を描いていたけれど、本作は主人公達の人生の15年という長い期間にフォーカスを当てて切り取っているので、よりシビアで綺麗事ではない現実となっています。

人生のいくつもの分岐点

ちょっとした些細な事から大きな決断まで、人生や生活の中にはいくつもの選択肢があって、それをどんなタイミングでどんな気持ちの時に選択するかによって、人生の進む方向は変わっていくわけだけど、目の前にある出来事だけを選択の判断材料にしていた若さ(若い時期)から、年を重ねるほどに選択肢の先にあるものを色々と考えてしまって、憂慮や後悔や未練などの感情がごちゃ混ぜになる感じがとてもリアル。

自分の意思で選択したことであっても、選択肢の先が人生においてプラスになるかはその場ではわかるわけもなく、数年経ってから「あぁ、選択肢を見誤った」と思うこともあり、その当時の自分にはわかりえなかったことが年を重ねることでわかることもある、という非常に現実的な挫折感を感じる阿久津や水野の感情を見ていると身につまされる。

阿久津について

作中では「亭主関白のよう」と語られていたけれど、亭主関白というよりはいつも自分本位で物事を見ていて、その結果、水野と対等だと思っているけれど、実際にはそうではない感じになってしまっているように見えるかな。
その自分本位の部分がイコール阿久津の育ってきた家庭環境という部分で、そこが阿久津の亭主関白的なアイデンティティの根幹を形成しているのは理解できるんだけど、それを母親、水野、妻に対しての立ち回りの理由とするのは......とことん自分本位で自分勝手だよね、それは都合のいい逃げ口上だよね、と思ってしまいます。

全体を通して自立した人間のわりに考えが甘くて自分本位すぎる阿久津には、自分にとって都合のいい展開ばかりが待っているほど人生は甘くないっていうことを骨の髄までわからせてやりたいイライライライライラ...と思いながら、阿久津パートを読んでイラつきを募らせた次第ですw

水野について

水野のパートは、仕事面でステップアップしていくのと並行して、移ろう感情の幅が広く描かれているのでとてももどかしい。もどかしいけれど、水野には水野の人生があって、もちろんプライドがあって、プライドがある分だけ意固地になる部分もあるし、恋愛に対する打算も憶えて、水野は水野で決して綺麗事だけで生きてる訳ではないのがとてもいい。
結局のところ水野は傷ついた記憶が重すぎて、「もう一度」という壁を自分からは乗り越えようとは思わなかったけれど、ずっと阿久津のことが好きだったんだよね。


出逢いから別れ、別れから再会、再会からの人生の「薔薇色じゃない」道のりを、じっくりと描いていて、水野と阿久津それぞれのパートで、それぞれの心情が語られながら、人生に対する煩悶が納得できる部分もあれば、どうなのかなと思う部分もあり......読み手側の年齢、環境等々によって、受け取り方もだいぶ変わりそう。
いろんな人の感想を知りたくなる小説です。

ちなみに電子版はイラストなしで1,324円でこの値段ならイラストつけて欲しいわと思ったけれど、紙の書籍だと1,540円......そうか四六判なのねこれ。


ではまた!
浅葱 拝