きょう、このBL本、読んだ。

商業BL本(漫画・小説)の感想。ネタバレあり。某文芸編集部編集者/小説編集者歴7年目(+校正者歴3年)。

コヨーテ III / 座裏屋蘭丸

コヨーテ III / 座裏屋蘭丸

[あらすじ]
人狼〉であることを隠しながら暮らすコヨーテは、想いを寄せはじめたマレーネが、人狼と敵対しているマフィアの後継者だと知ってしまう。裏切られたと絶望し、彼を拒絶するコヨーテ。しかしマレーネは、一目会おうと単独で人狼の住処に乗り込んで来る。彼を信じたい気持ちと、種族の狭間で揺れるコヨーテだが――。(電子書籍サイトの作品内容より)



[感想]
伝えなければならない気持ちのためにヴァラヴォルフの居住地区に乗り込んでくるマレーネの浅はかさも、会わない意志を固めていたのに危険を冒してまで会いにきたマレーネの気持ちを聞きに会いに行くコヨーテの青さも、揺り動かす原動力となっているのは”愛する”という気持ちなのが尊い。特に満月期の終わった朝にコヨーテが狼の姿でマレーネのもとを訪れるのがすごく良かった。(でも狼から人型に戻った時に全裸じゃなく服を着ていた視覚的違和感がものすごかったw )

1・2巻は宿敵の一族であり敵対する二人がそうとは知らずに恋に落ちて、真実に気づいたけれどそれを告げることができずに関係を深めてしまい...という苦悩が主軸でストーリーが展開し、特に2巻のラストでマレーネが単身ヴァラヴォルフの居住地区へ...という流れだったこともあって、浅はかな過ちと愚かさ故のすれ違いの果ての悲劇を想起させたけれど(いわゆるロミジュリ的な)、3巻でその苦悩とすれ違いの回避を過去の告白+両想いになる愛の告白でまとめた構成がとても気に入った。

ただ今後は、人狼とガーランド一族との抗争が本格的な終着へ向けて動き出すので、人間(ガーランド一族)の醜悪さや業の深さと、人狼(キーファーの群れ)の復讐というこれまで以上にシビアな環境下で、離れ離れになった二人がどうなっていくのか...また新たな悲劇の雰囲気を醸しているんだよね...。キーファーに死亡フラグ立ってる気がするんだけど...思い過ごしであって欲しい。

1巻から不穏な空気を纏っているドミニクが3巻ラストであの登場...ゾクッとくるね。ドミニクの立ち位置がガーランド側なのか人狼側なのか、もしくはどちらも潰したいと思っているのか、まったく別の思惑があるのか...真の腹づもりが謎のドミニクが今後のキーパーソンになるのは間違いない。
ところで1巻でドミニクの瞳の瞳孔の形から人狼?と思い、2巻のコヨーテの過去エピからドミニクはコヨーテの父親なんじゃないかと思っているんだけど...どうなんだろう?


物語が大きく転換して動き出しそうな4巻を楽しみに待ちます。
座裏屋蘭丸さんの作品の中では「コヨーテ」のストーリー性が一番好き。

では、また!
浅葱 拝

恋のはなし / 斑目ヒロ

[あらすじ]美貌のバーテンでゲイのちひろは、誰からも本命扱いされないダメな恋ばかりを繰り返していた。そんなある日、かつて好きだった高校時代の同級生・律と再会し、恋人との幸せそうな姿をうらやましく思うようになる。やがて足しげく店に通ってくれる律に、あるほの暗い執着を持ちはじめ――。(電子書籍サイトの作品内容より)(ウェブ・マガジン:花丸漫画Vol.15に収録されている漫画のバラ売り短編。)


[感想]

自分が幸せでないから、他人の幸せが羨ましくて......欲しくなる。

過去に告白してくれた同級生との再会で、青春の1ページのような淡い恋を思い出した延長線上に、そんな歪んだ気持ちを抱かせ、罪悪感もなく欲しいものを手に入れようとするちひろという人物の策略めいた駆け引きを「恋のはなし」とした斑目ヒロさんのセンスを感じる短編。

高校時代のおぼろげな告白を、一方的で残酷な身勝手さでジリジリと燃やして、誠実な人間にしか見えなかった律と共に、人間のズルさを凝縮したような結末に流れていく展開がものすごく好き。

ちひろは律の幸せが羨ましかったのに、律を自分のものにしたからといって幸せになろうとは思っていないところが最高に病んでいて、この混濁した美しさ斑目ヒロさんの作品の魅力なんだよなぁと思う。(覆面係長は別としてw …いや、あれはあれである意味混濁してるけれどもw)

優しさも愛情も感じないけれど、静かなる人間の欲望を見せつけられるみたいな息苦しさが漂う「恋のはなし」。この短編、ふと読み返したくなる魅力があります。


では、また!
浅葱

獣人アルファと恋の迷宮 / 成瀬かの(イラスト:央川みはら)

[あらすじ]養い親を亡くし孤児シシィは迷宮都市へとやってくる。二十人もいる幼い弟たちを養うため、死に神のように禍々しい姿をしたオメガ嫌いの獣人・ラージャと組んで迷宮へと潜り始めたシシィはベータだと思っていたのに突然発情期に襲われ驚愕。激怒したラージャに嘘つきと責められた挙げ句激しく抱かれ妊娠してしまう。一人で子供を産む決意をするも、気づいたラージャが求婚してきて──。プロポーズは子供ができたから? それとも……?(電子書籍サイトの作品内容より)

[感想]

ダンジョン設定のファンタジー

BLのファンタジーでダンジョンものって珍しい!
冒険者ランク初心者のシシィが装備を調えたり、実はチートな魔法の力を備えていたり、ワクワクする冒険ファンタジーの序盤はすごく楽しかった。...んだけど、割と早いうちに受けのシシィにΩの発情期が来て、αのラージャと地下の迷宮でくんずほぐれつのまぐわいエロに突入してあっさり妊娠...。うん、ストーリーのメインはダンジョン攻略じゃなくてオメガバースの恋愛だから仕方ないよね...とわかりつつも、もっと冒険ファンタジーの部分を読みたかったのが本音(´-ω-`)

βと思っていたけれどΩだった

ダンジョン探索の相棒として信頼が生まれ始めていたシシィとラージャだったけれど、地下迷宮でβだと思っていたシシィに発情期が...。Ωとαが発情期に二人きり...ということでフェロモンに抗えず身体を重ね重ね重ねまくる二人。
その後、シシィが妊娠していることに気付いてからは恋愛感情メインに物語がシフト。
Ωの発情に陥れられたという誤解からすれ違う二人のパートと、ラージャが幼少の頃に婚約した少女の存在...という二本立てのすれ違いが上手い具合に絡まって、だいぶジレジレ展開。ちょっと間延び感を感じるけれど、ラージャの無骨で不器用な恋愛感情いいね。

家族となって支え合う

獣人の幼児達はただただ可愛いちびっ子ではなく、いい意味で一筋縄ではいかないしたたかさ持って生きていて、だいぶ逞しさを感じるけれど意地汚いと感じさせるような逞しさじゃない辺りが好感。でも幼い感を演出するための平仮名だけのセリフ(会話)は...読みにくかったw

孤児として強く生きて来たけれど、ラージャと出逢って家族になったことで重荷を下ろしたような気持ちになったというシシィのモノローグは、穏やかな未来を感じさせるものでした。
あと、ラージャの正体が「迷宮都市の覇者」という通り名のダブル・ミーニングになっているさり気なさも良かったです。


ダンジョン探索の冒険者としてのラージャとシシィの相棒感が良かっただけに、オメガバースのありがち展開からの家族エンドに落ち着いたのはちょっともったいないと思ったけれど...おもしろかったです!

では、また!
浅葱 拝

1月に購入したBL漫画(全12冊)

もう2月が終わろうかっていうのに、今頃1月のBL漫画購入記録を...。
1作品のみ未読だけど、今回、なかなかいいチョイスだったと自画自賛の読了ラインナップです。

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(順不同/敬称略/あらすじは電子書籍サイトの作品内容から)

さよならスーパーダーリン / 蛭塚タウン

[あらすじ]全寮制エリート育成学校・スパダリ学園。中等部から進学した財前財閥の御曹司・財前奏は、入学式の日、外部進学の特待生・山本聖司と出会う。2人は学園における「ダーリン制度」でダーリン同士に指定され、寮も同室になった。ダーリン同士の2人のうち、2年に進級できるのはどちらか1人だけ。1年後、2人は合意の元に進級する1人を選ばねばならない――!相手の屈服させ、真のスパダリとなれるのは――!?


ひとこと感想:
「アルファ戦隊 アルレンジャー」の時の思ったけれど、ふざけた内容に見せかけて意外にも純な愛を描く漫画家さんですよね。6年後のSF展開だけはぶっ飛びすぎてて、置いてけぼりにされたw 直前まで割とせつない感じだったので余計に落差がw


人でない狼(1)  / 元ハルヒ

[あらすじ]深い森に棲むやさしき人狼と人の運命の恋――。人狼のジェオと小狼のテオは、ある日森で友人を探す男と出会う。その男は、街の警備隊長――ロッド。病弱なテオの薬のためにジェオは人探しを手伝うことに。そして森で忌み神にあてられたふたりは、どちらともなく抱き合い、一夜を過ごす…。秘密を抱えたままロッドを好きになってしまったジェオは、ある決断を!?



ひとこと感想:
作家さん買いです。「マウリの竜」も好きだったけれど、こちらはもう少し重苦しい空気感で、東欧の薄暗い世界観っぽい印象が超好み。カシオがどういうキャラクターなのかまだはっきりとはしてないけれど、真面目な隊長さんという感じのロッドに対して、悪い男の魅力がにじんでる「俺の犬だ」のシーンがクールでかっこいい。ジェオの醸す薄幸感のせいか、あまりハッピーエンドを想像できない...バッドエンドまではいかなくてもビターエンド的な結びになったりするのかなぁ...。テオとジェオとロッドで静かに暮らせるようになればいいなぁ。


肉食組曲(1) / ダヨオ

[あらすじ]ゲイが3人集まれば、恋の話で盛り上がる!職業も性格もバラバラだけど仲良しの三柴、千之助、平良は、焼肉屋「いざ」でモリモリ肉を食べながら、お互いの恋を励まし合ってきた。印刷会社に勤める三柴は、才覚があり、人をやる気にさせる優秀な営業マン。しかもイケメンでいい匂いがすると社内外でも評判!そんな三柴は、同じ会社の印刷職人・白瀬に想いをよせている。お願いごとにもキッパリ「嫌です」と言えちゃう、ちょっと冷たい年下くんなのだが、酔うとフワッとほぐれていく不思議な個性。しかも可愛い~~のだ。さて、三柴の片思いは叶うのか…?電子書籍限定描き下ろしマンガ2ページ&雑誌掲載時のカラーを特別収録!

ひとこと感想:
仲良しゲイ3人のオムニバス形式の恋模様。印刷会社の営業×職人の話は一番オーソドックスなBLという感じ。2カプ目の同人作家同士の話は、恋愛未満どころか友人未満から始まる関係の青春ドラマ感があって、コミュ障でネガな平良が一生懸命声を振り絞ってひったくりのバイクを追いかけてからのくだりはホロリとしちゃったw 3カプ目は幼馴染みの焼肉屋×元ホストで、せつないわー。続き気になるわー。


優しいパンツの脱がせ方@進路 / まさき茉生

[あらすじ]長年の両片想いを経て晴れて恋人同士になった幼馴染の谷内野悠真と志田綾平。幼少期から高校までずっと一緒にいた二人だが、大学進学を控えた高3の春、綾平は進路に悩んでいて――。大人気作品『優しいパンツの脱がせ方』電子限定描き下ろし番外編!




ひとこと感想:
進路の悩みといっても大して深刻さを感じさせないイチャイチャ&エロの短編。


オールドファッションカップケーキ / 佐岸左岸

[あらすじ]寝て、起きて、仕事をする──それだけの毎日、それだけを好きで選んでいる自分に最近少し憂鬱な39歳・野末。ちょっと無愛想だけど信頼厚い部下29歳・外川は、そんな野末が気になる。ひょんなことから、女子で賑わうパンケーキのお店に2人で行くことに。ここから、外川による野末のためのアンチエイジング大作戦が始まった。休日まで野末のために時間を割く外川に「なぜ?」が募っていく野末だが…!?


ひとこと感想:
う〜ん、良くも悪くもない感じ。ポイント的にすごくいいなと思うところもあるんだけど、全体としてはあまり印象的ではなかった。「春と夏となっちゃんと秋と冬と僕」は4コマで日常の萌えを集めた構成だったので、ポエミーでリリカルな部分がプラスに働いてたんだなと思った。でも気になる漫画家さんなんで次作も期待してます。


初恋不全モラトリアム / 黒井つむじ

[あらすじ]失くしてしまった初恋の人形に執着し捜し続ける伊勢哲也。人間に興味はないが、人形そっくりの佐久慧悟と知り合い、成り行きから同居することに。人形以外欲しいものはなかったはずが、佐久によこしまな想いを寄せる男たちに嫉妬し、独り占めしたい欲求が芽生え始め――!? いびつな愛に悩む青年の恋着と初体験。



ひとこと感想:
失くした日本人形の顔に、記憶の改竄で理想の顔を思い描いていることに無自覚な攻めが、その理想の顔の青年と出会ったことで、とどまり続けた過去から一歩を踏み出すという過程を、人形探しというエピソードに重ねていて...う〜ん、終始、強引というか不思議な展開だったけれど、登場人物の歪さは感じられた。なんだか不思議な読了感。


今日に還る / 加東セツコ

[あらすじ]正体不明の美青年に隠された、哀しい過去と優しい記憶――田舎に一人で暮らす母の急逝を受け、帰省した会社員の綴(つづる)。悲しみに暮れながら訪れた実家で待っていたのは、従兄弟のソラと名乗る青年だった。親戚やご近所さんとも親し気だけれど、その泣き腫らした瞳になぜか全く見覚えがない。「大丈夫、あの頃も今も、絶対に綴を一人にはしない――」自分だけが思い出せない後ろめたさを感じながら、ソラの隣だけが心の拠り所になっていく。少しずつひも解かれる幼い記憶の断片に、彼の姿を探すけれど…!?【電子限定版】描き下ろし番外編収録。

ひとこと感想:
ソラの存在の真実が見えない重苦しさだけを漂わせながら物語は淡々と進み、真実が見えた後は、それはそれでなんとも言えないせつなさが待っていたけれど、淡々とした運びで物語は帰結する。この空気感は嫌いじゃないです。幸せになって欲しい、という純粋に願う気持ちだけが生まれる作品だった。


のみ×しば / 田倉トヲル

[あらすじ]全寮制の男子校に入学して早2年、恋とは無縁の野宮に異変!? 女の子顔負けの可愛さを誇る同室の御子柴を見るとドキドキするのはなぜ? 俺が好きなのは柔らかいおっぱいのはずなのに…! 理性と本能が交差する、思春期男子の青春ドタバタラブコメディ。




ひとこと感想:
いやーっキュン死しそうになったw いいねいいねー、この甘酸っぱいDKの青春、もどかしさが輝いてるよ。田倉トヲルさんが幻冬舎で連載している「こいものがたり」もDKの青春と友情と恋の物語だけど、あちらはマイノリティの悩みを描いている部分もありシリアス調なので、この「のみ×しば」のコメディタッチな方が取っつきやすいかな。私はどちらも好きだけど、テンション高く萌えーー!ってなるのはこっちだな。登場する男子がみんな一癖あるのに”いいヤツ”ばっかりなのも好感触。両片想いからようやく...の超絶いいところで次巻へ続く!!...悶えながら待ちますw


LOVE&HATE / 高城リョウ

[あらすじ]かつては美貌を武器に探偵として名を馳せていた一吾。ところが、すっかりくたびれたオッサンになってしまった今、日々の生活にも困窮していた…。 そんな一吾の元に、九鬼乙英と名乗る男が依頼にやってくる!!久々の報酬金に張りきる一吾だったが、あえなく失敗…。挙句に依頼人である九鬼に助けられる始末…。 ところが、依頼はついでで本当は一吾に会って確かめたいことがあった…と、九鬼にいきなり迫られてしまい!?


ひとこと感想:
受けが40歳のオヤジという設定だけど見た目が麗しい青年のようで無理があり過ぎたw そこをスルーすれば話自体は全体的にこざっぱりとまとまっていたかな。攻めが傲慢系かと思いきや意外と純情で、必死な追いかけ方も一途なワンコみあって嫌な感じじゃないのはよかった。でもやっぱり受けが見た目年齢も内面もちょっと若々しすぎるし、依頼のこない探偵事務所でうらぶれたおっさんという設定が全く活かされてなくて残念。


しっぽ隠して恋隠せず / 富塚ミヤコ

[あらすじ]広告代理店で働く八重坂は、冷え性の人見知り。いつもあったかい格好をしてひっそり過ごしているが、実は「ネガティブな感情がきっかけで、イグアナ化」してしまう体で!?そんな八重坂の秘密を知った営業の太賀は、気味悪がられると怯える八重坂に「友達になりましょう」と笑いかける。太陽のような彼に八重坂も心ほぐれていくが…。年下営業リーマン×イグアナ化する先輩のあったかオフィスラブ★笑顔が苦手な研修医のメディカルBL『志摩くんと先輩外科医』を同時収録☆

ひとこと感想:
人外がもふもふ系は定番だけどまさかのイグアナ。しかも結構リアルな描写されてて爬虫類苦手なんだけどなぁーと思っていたけれど、八重坂さんの生真面目に真っ直ぐ頑張る姿や、ワタワタと動揺する様子がほっこりで、イグアナ型でも可愛く見えたw 攻めの太賀くんの包容力もとっさの判断力もすば抜けてて、 攻めも受けも両方心が綺麗な人たちの清らかな空気が愛おしくなる。初読みの漫画家さんだけどこの話、とても好き。短編の読切が1作入ってるけど、そちらは平凡でなんの感想もわかないw

Lover Santa Claus (上)(下)  / 九重シャム

[あらすじ]幸せとは無縁の環境で育ち、「D」という通り名で闇社会を孤独に生きる青年・出羽翼。ある日、財布を拾った縁でお人好しそうなリーマンの市蔵五百利と出会った。翼の刹那的な生き方の裏にある、優しさと寂しさに気づいた五百利は、翼に同居を持ちかけるがーー!?魂を揺るがす衝撃のダークファンタジー、上下巻同時発売!!



では、また!
浅葱 拝

烈火の血族 / 夜光花(イラスト:奈良千春)

[あらすじ]十八歳になったマホロは、ある使命──失踪したジークフリートボールドウィンの手がかりを得るため、ローエン士官学校に入学した。ローエン士官学校はこの国唯一の魔法を学べるエリート士官学校として知られている。そこで、マホロは名門セント・ジョーンズ家の子息ノアと知り合う。学生に絶大な人気を誇り、親衛隊まで持ちながら、ノアが唯一興味を示すのは、落ちこぼれのマホロだった。ノアによれば、直感がマホロを手に入れろと言うらしい。平穏なはずの学校生活に、嵐が吹き荒れる!?魔法にドラゴン、秘密が絡まり合う壮大な恋と闘いの物語、開幕!!(電子書籍サイトの作品内容より)
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[感想]

壮大なファンタジーの幕開け

封切られた物語の序章という1冊で、このシリーズの本筋に絡んでくる登場人物達の人間性や特質をお披露目しつつ、壮大な世界観への導入を行っている。
魔法、五名家、士官学校、魔法石、賢者の石、闇と光の血族...等々、キーワードとなる要素が盛り沢山なのに雑然とした印象はなく、流れるように読み進めることができる。
夜光花さんの新ファンタジーシリーズ始動は、この先に待ち受けている壮大な物語に対する期待感を煽られるワクワクし通しの1冊でした。

キャラクターの魅力も満載

自信家で毒舌で俺様な攻めのノアのキャラクターがユニーク。俺様キャラはあまり萌えない質なんだけど、正統派攻めじゃない勢いがおもしろくて好きだ。ノアの“自分にブレず他に迎合しない自我の強さ”が、この壮大なストーリーを駆け抜けるのはピッタリという印象。まだ能力的には隠されている部分もあり、そこが明かされるのも楽しみだし、貞操魔法壁で守られてるマホロとの合体がいつ達成されるのかも楽しみw
マホロの小動物っぽいところとアルビノのように真っ白なビジュアルも好き。これまでの自分の人生を覆すような事態に陥り、自分が何者なのかすらわからない状態におかれても、いつまでもウジウジ悩むような卑屈さがないところがいい。チワワのようにブルブル震える気持ちでいたとしても、決して弱くないので好感を持つ。

ノアの別荘に集合したメンツがこのシリーズの主要キャラクターになると思うけれど、正統派キャラのレオンやノアの補佐的存在のテオもいいけれど、立ち位置的に埋もれてしまいそうなオスカーに活躍の場はあるのか...期待してます。
四賢者の一人という校長がいまいちすごい人物とは感じられなかったことは残念。

マホロという人物にはまだまだ謎がたくさんあるし、それ以上にジークフリートという人物は謎謎アンド謎に包まれているので、今の段階ではジークフリートがマホロに向ける執着は神国トリニティのための道具としてなのか、それとも歪んだ愛のような何かを持っているからなのか...まだはっきりしないので、この先が非常に気になるところ。

奈良千春さんのイラストはキャラクターのイメージを魅力的に膨らませてて眼福。特にマホロの頭の上で震えるアルビオンの図、可愛かったですw

質問。一人の人間の命で千人の命が救われるとしたら、一人の命を奪えるか?

今後のシビアな展開を予感させるこの質問は、ノアからマホロに問いかけられ、2人が抱える愛に関する意識を定かにしたけれど、闇の勢力に対抗する側に立った時、おそらく”正”と”義”を貫こうとする全員に重くのし掛かってくる哲学だなぁ。
ノアにとっては「一人の命=愛する人」という考え方だったけれど、「一人の命」に感じる愛が、親愛だったり友愛だったり情愛だったり、その「一人の命」にどんな愛を感じるかは各人各様なわけで...。闇魔法の軍団と闘う仲間としての意識が強い人間ほど、選択する命を前にした時、苦しみを抱えるんだろうなぁと思う。
そういえば最後、ノアの別荘に集合したメンツの中に魔法の能力的には戦力になりそうにないザックがいたけれど、マホロの初めての友達ということでジークフリートの標的にされそうで心配だわ...。

あとがきで

雰囲気で書いちゃうところがあると綴っておられましたが、この「烈火の血族」は創造性と文章力の均整がとれていて、小説として上滑りするところがほとんどなく完成度が高いです。
私事ですが文芸小説編集部のジョブ・ローテで、SF/ファンタジー編集部に居たことがありますが、プロットの読み込みからゲラの校正までがひときわ大変だったのがファンタジーの編集だったので、あとがきを見て、担当編集の方の力量にも敬服です。
夜光花さんのもう一つのファンタジー「少年は神シリーズ」もSHYノベルズだったけれど、ファンタジーを専門にしてた編集者の方がいるんだろうか。


小説として、ファンタジーとして、個人的に圧倒的好みの作品で面白かったです。
濃厚にBがLする展開はまだもう少し先かな?
次巻がとーっても楽しみです!

では、また!
浅葱 拝

2019年のBL小説マイベスト的な。

というわけでBL小説の2019年マイベスト的なやつです。

2019年(2019年1月1日〜2019年12月31日の間)に出版されて好きだと思ったBL小説12作品。

  • 2019年は今まであまり積極的には読んでいなかった作家さんの作品を読んだり、苦手だと思っていた作家さんの作品が思いがけず良かったり、ちょっとした発見がありました。
  • あと、表紙買い率も高くて、好きなイラストレーターさんの傾向を自分の中で再確認w
  • 2019年は投稿サイト小説の商業化作品も多かったように思います。出版社が主催している投稿サイトの○○大賞への投稿(応募)作品ではなく、公開されているネット小説の拾い上げ作品は、結構読んだけれど正直よくこれで出版ラインに乗せたなというレベルのものもあり、そういう作品は毎月の購入記録にも入れてません。中にはあと何作か読んでみたいと思わせる作家さんもいて、そういう方は購入リストに載せています。
  • マイベストは順位をつけず、気に入った作品を一覧にしています。

(順不同/敬称略/あらすじは電子書籍サイトの作品内容から) 
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甘くて切ない / 月村奎(イラスト:yoco)

ショッピングモールにあるメガネ店で働く律は、幼い頃から不仲な両親を見て育ったため、他人と距離をおき、ひとりで過ごすことに慣れていた。そんなある日、ふとしたきっかけで人気作家の西 倫太朗と知り合い、高校生の弟とふたりで暮らしている倫太朗の家に、料理を教えに行くようになる。人と親しくすることを恐れ、誰かに恋することも、触れられることもなく生きてきた律だけれど、倫太朗といるうちに、やさしさや幸せを知るようになり!?

ひとこと:
薄い空気の中で最低限の呼吸をしてひっそりと生きているような受けが、自分から気持ちを伝えることができるようになるまでの丁寧な歩みを、甘くせつなくまとめ上げられていて良い。月村奎さんの作品に登場する内気でネガティブなタイプの受けは、作品によってはそれがうざ過ぎて受け入れられないことがあるけれど、この作品の律のキャラクターは好きです。
📌こちらに感想記事あります。
blnote.hatenablog.jp


黒帝は穢れた魔物に愛される / 沙野 風結子(イラスト:奈良 千春)

「誰にも裸を見られてはなりませぬ」海神の国の帝・キリイの肉体には秘め事がある。もしそれが暴かれれば、自分は殺され、この国は敵国ギメイルの侵略を許すことになるだろう。だが、素性の怪しい薬師のスザクに不敬を働かれ、秘所を見られてしまった。「刀を収めろ。まるで乱暴された姫君のようだぞ」そう嗤うスザクに、キリイは憎悪と疑惑とともに妙な安らぎを覚えて――!? 快楽の闇の中で探り合うような関係。それはこの世界の運命をも動かし始める――。

ひとこと:
このワダツミ3部作は単作品としてもシリーズ作品としても、丹念に練られている各々のストーリーとそこに当てはめたキャラクターの組み合わせがぴったりとはまっていて巧み。1、2作目で非道な人物だったキリイが、自身の肉体の秘密に苦悩し、スザクに反発しながらも魅かれていく展開は王道だけど、多方面に散らばる愛憎が複雑に絡まりながら一つの終結に向かう過程に読み応えがある。シリーズ1作目の「帝は獣王に降嫁する」が一番オーソドックスなBLで、2作目「神子は奴隷王に繋がれる」は糖度が高く、この3作目は完結篇としてのストーリー性とメインキャラの色気が魅力的です。


灰の月 上下  / 木原音瀬(イラスト:梨 とりこ)

本橋組組長の息子・惣一は5年前に敵に襲われたトラウマで、一時も1人きりでいることができなくなってしまった。同時に押し込めていた自分の性癖も暴かれてしまう。性欲処理を寡黙なボディガードの嘉藤が見ている前で行っていたが、ある日道具の代わりに嘉藤自身をねだると彼は命令に従い惣一を抱いた。感じたことのない強烈な快感にもう一度とねだるが、嘉藤に「抱くのであれば女の方がいい」と拒絶されてしまい…。『月に笑う』の山田と路彦のその後のエピソードも収録。(上巻より)

ひとこと:
深く心をえぐられる作品。でもところどころちょっとどうなのかなぁと思う部分もあり...そのうちがっつり感想をあげたい。
余談ですが個人的にヨネダコウさんの「囀る鳥は羽ばたかない」の矢代と百目鬼の行き着く先がこの「灰の月」のイメージです。


えとがみ-干支神-  / 犬飼のの(イラスト:yoco)

祖母と総菜店を営む瞬は、過去のトラウマによる対人恐怖症を抱えながらも、日々仕事に励んでいた。そんな瞬の前に、村が祀る干支神の一柱である寅神の皇子・百艶が現れる。天界を追われたという百艶は、瞬を気に入り世話係に任命すると、家に転がり込んできた。奔放な彼に振り回される瞬だったが、次第にその心根に惹かれていき、百艶もまた、瞬を溺愛するようになる。ところが、雷鳴と共に思いもよらぬ出来事が次々と起きて……!?

ひとこと:
イラストが世界観にぴったりで百艶様と瞬の魅力が倍増。物語も番外編もイラストも素敵で大満足の1冊だった。百艶様好きだわぁ。ただわりと早い段階で現世の生活に慣れてしまうのがもったいなくて…もう少し天界での暮らしぶりとの差異を感じさせてほしかった。隻眼となって瞬と生きることを選択した百艶様もだけど、天界の住人の翠綺様も冥界の冥王様も魅力的な人物なので、スピンオフがあればいいなぁ。


ルドヴィカの騎士 ~奇跡の泉・銀~ / 尾上与一(イラスト:央川 みはら)

「この方を、わたしの騎士にしてください!」《聖ルドヴィカの泉の奇跡》を起こすハイメロート家。その嫡男で司祭候補のマティアスは、鍛冶屋の息子のレーヴェに命を助けられ、彼を自分の騎士にと願う。レーヴェもまた、純真無垢なマティアスを唯一の主と敬愛し、将来司祭となる彼に仕えるために騎士を目指すことに。しかしある日、瑞霊からマティアスを庇い、レーヴェが倒れてしまって…!?泉を舞台に繰り広げられる二人の奇跡のクロニクル。シリーズ第二弾!

ひとこと:
奇跡の泉シリーズ1作目の「アヴァロンの東」はキャラクターの心情が読み難く、必要以上にストーリーを練りあげた印象があって納得できない部分があったけれど、こちらの作品は正統派の出来栄えで、作品の魅力がまっすぐに伝わってくる。物語が進むにつれて1作目との時間軸が重なってストーリーが進んでいくところや、レーヴェの父親の「蹄鉄ぐらい打つでしょう」という言葉に込められた真意がわかるところ等々、伏線から全体をまとめる構成が簡潔なのに丁寧でとても良かった。あと単純に浮世離れしたマティアスのキャラクターがとっても愛らしくて好き。


パブリックスクール ―ツバメと殉教者― /  樋口美沙緒(イラスト: yoco)

由緒ある伯爵家の長男で、名門全寮制パブリックスクールの監督生(プリフェクト)――。なのに、制服は着崩し、点呼や当番はサボってばかりのスタン。同学年の監督生・桂人(けいと)は、密かにスタンを敬遠していた。卒業まで、極力目立たず、無害な空気の存在でいたい――。ところがある日、桂人はスタンの情事を目撃!! 見られても悪びれない態度に、苛立つ桂人は優等生の仮面を剥がされてしまう。さらに、二人一組の当番で、スタンのお目付け役を任されて!? 栄えある寮代表(ヘッドボーイ)の座は、誰の手に――!? パブリックスクールを統治する、監督生たちの秘めた激情と恋!!

ひとこと:
800ページ越えの物語を、いくつかの主題を絡ませながらダラけさせない進行と構成でまとめ、主人公の桂人とスタンの感情の動きを最大限に描写していて、ぐいぐいと引き込まれた。
パブリックスクールシリーズは、孤独を抱えた未発達な登場人物たちの幼少期から青年期にかけた心の動きを追いながら、愛のあり方について模索しているところが魅力ですね。礼とエドの関わり方よりもこの作品の桂人とスタンの関わり方の方が好き。脇を固めるキャラクターもこの「ツバメと殉教者」の方が内面の深奥さが描かれていて、特にメンべラーズには興味が沸いた。あんな風にすべての物筋を俯瞰的に捉えて生きている人は、どんな孤独を抱えて、どんな愛を求めるんだろう。
礼とエドの物語は2作目以降ソープオペラちっくになりつつあって、少しダラダラと冗長になりつつあるので、この「ツバメと殉教者」の凝縮された物語はとても良かった。このシリーズはうきゃーっとなる萌えではなく、んんんんって身悶えるじわっとした萌えがつまってて、お約束のすれ違い展開も美味しいです。そのうち感想記事上げます。


王子は無垢な神官をこよなく愛す / 釘宮つかさ(イラスト:みずかねりょう)

『手を触れた者の運命の相手が見える』という不思議な力を持つナザリオは、第一王子の花嫁を占ってほしいという大国からの依頼を受けた。ようやく着いた目的の国で最初に出会ったのは、偶然にも第一王子のレオンハルトだった。レオンハルトは、ナザリオが自分の花嫁を占うためにやってきたと知ると態度を硬化させ、すぐさま帰国するよう促した。だが、なんとか占う許可を得たナザリオが見た、王子の運命の相手は──。

ひとこと:
真面目で天然無垢な神官のナザリオと、無骨だけどこちらも真面目で実直な第一王子のレオンハルトが、徐々に関係を近づけていくのがとても萌え。ナザリオのお供のフェネック ? 二匹がレオンハルトといい具合に絡んでいくのが可愛い。ずっと奥ゆかしかったナザリオがレオンハルトの元へ駆けて行って想いを告げるところも、レオンハルトが初恋ゆえにちょっと暴走気味なエロでナザリオを愛するのも萌えだったし、こういう優しい王道ファンタジー好き。
釘宮つかささんの小説はずっと以前に読んだ現代物(再開発の立ち退きを拒否する受けのやつ...タイトル失念)が合わなくて避けてたんだけど、この作品はすごく気に入りました。


そらのいとしい旦那さま / 野原滋(イラスト:サマミヤ アカザ )

双子の姉の身代わりとして隼瀬浦領主の長男・三雲高虎に嫁いだ空良。名前もなかった自分に「空良」と名づけ、男でも厭わず溺愛してくれる夫とともに穏やかな日々を送っていたが、高虎の父、現領主の時貞から、世継ぎのために高虎に女の正室を迎えるよう説得して欲しいと告げられてしまう。苦悩の末、空良が下した決断とは?

ひとこと:
野原滋さんの作品の中でも「そらのだいじな旦那さま」シリーズはかなり好きです。番外編の同人誌も通販でgetしてますw 同人誌はKindleで電子化もされてるみたいですね。
📌こちらに感想記事あります。
blnote.hatenablog.jp


蜜通 / エナリ ユウ(イラスト:雪路凹子)

六歳の小さな手から、俺は大切な宝物を受け取った――。榛名は、初恋の男の息子・涼一を男手ひとつで育てることに。しかし涼一が高校生になった時、ゲイであることがバレてしまう。嫌悪されたと思い距離を置いた榛名だが、社会人になった涼一に「アンタのことが好きだ」と情熱的なキスをされ、息子同然の彼に身体まで翻弄されてしまい…! 執着年下ワンコ×ツンデレ弁護士、恋の攻防戦!

ひとこと:
2019年の新人作家さんの中から1作品選ぶとしたらこちらかな。王道の設定を飽きさせない文章力と、萌えとエロが上手くまとまっていました。


アンダーエール! / 砂原糖子(イラスト:小椋ムク)

百九十センチから見下ろす威圧感で、強面な剣道部のエース──。そんな親友・桝木(ますき)の部活を、毎日放課後に見学していた折川(おりかわ)。表情筋に乏しく不愛想な親友の良さがわかるのは俺だけだ…。ところがある日、桝木が学校一の美少女と付き合い始めて!? 「おまえが見てないと集中できない」無自覚に煽られても、応援するふりで熱く見つめることしかできない──決壊寸前の、甘く切ない青春エール。

ひとこと:
流行りのテーマや題材ではなく、高校生の青春を奇を衒うことなく実直に描いていて、それが逆に新鮮に感じさせられた。攻めが受けを好きになった心情にはあまり触れられていないし、折川の行動に軽率さを感じたりもするので、文句なしにキャラクターに魅力を感じるかというと決してそうとは言えないけれど、そういう部分も含めて、高校生の説明し難い青さみたいな部分が作品の味となっているんだと思う。


掌の花 / 宮緒葵(イラスト:座裏屋蘭丸)

エリート弁護士・宇都木聡介の元に依頼人として現れたのは、高校時代の元同級生で、ネイリスト兼実業家の黒塚菖蒲。相続トラブルを抱えた菖蒲のために、聡介はしばらく彼の家に同居することになる。華道の家元の息子で絶世の美少年だった菖蒲とは、かつて身体を慰め合った仲だった。大人になっても壮絶な色気を含んだ菖蒲の手は、爪先を朱色に染めて淫靡に聡介の身体を求めてくる。戸惑いながらも愛撫を受け入れてしまう聡介。その執着は年月と供に肥大し、強い独占欲を孕んでいるとも知らずに――。

ひとこと:
掌シリーズだと前作の「掌の檻」の方が、執着の異様さの粘度も濃く作品としての完成度もあちらの方が好きなんですが、2019年に出版された宮緒葵さんの執着攻めの作品としてマイベストからは外し難い感じで。
📌こちらに感想記事あります。
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ロイヤル・シークレット / ライラ・ペース(訳:一瀬麻利・イラスト: yoco)

ニュース配信社の記者、ベンジャミンは、英国の次期国王ジェイムス皇太子を取材するためケニアにやってきた。滞在先のホテルの中庭で出会ったのは、あろうことかジェイムスその人だった。雨が上がるまでの時間つぶしに、ベンの部屋のテラスでチェスを始めた二人は、駒を取られるたびに一つ秘密を打ち明ける取り決めをする。それは軽いゲームのはずだった。しかしいつのまにか二人の間に不思議な感覚が通い始め――。世界で一番秘密の恋が、いま始まる。

ひとこと:
興味のなかった海外翻訳BL作品も悪くないと思わせくてれた小説です。
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では、また!
浅葱 拝